瀬戸内国際芸術祭2016夏会期・2日目は直島。
といっても、今回の直島訪問は瀬戸芸メインではなく、
直島に新しくできた二つの建築作品(うち1つは瀬戸芸の作品でもありますが)。
一つは宮浦地区に新しく建て替えられた直島キリスト教会(以降「直島教会」と表記)。
タマビの教授と学生がチームとなって設計に参加したとか。
もう一つは本村地区の直島町役場の裏側にできた直島ホール。
設計者の三分一博志氏は正直初耳な建築だけれど、
特徴的な外観に惹かれてぜひとも訪れたいと思ってました。
まずは始発のフェリー(高松港8:12→宮浦港9:02)で直島へ。
フェリーターミナルから徒歩10分ほどで直島教会へ。
直島だからどこへ行っても混んでるんだろうなあ...と思ってたんだけど、
いざ教会に着いてみると誰もいない。
ガイドブックにも載ってないし、朝一ということもあったからかなあ。
管理人さんが一人いて、じっくり中を説明してくれました。
写真も取り放題、と嬉しい図らい。
社会福祉センターのバス停から歩くこと2〜3分ほどで三角錐型の鐘楼が見えてくる。
ファサード。
かつて牧師さんが使っていた五右衛門風呂を再利用した洗礼盤。
折板状の壁構造。
境界の間取りは中央の入口からまっすぐ通路が礼拝堂まで伸びていて、
通路両端のジグザグ部分が資料室や談話室、小礼拝堂などの小部屋になっています。
建物模型その1。
建物模型その2。
礼拝堂への通路。
その両側には各国語で祈りの言葉がレーザープリントされています。
願わくはみ名を崇めさせたまえ
み国を来たらせたまえ
みこころの天になりごとく地にもなさせたまえ
我らの日用の糧を今日も与えたまえ
我らに罪をおかす者を我らが赦すごとく、
我らの罪を赦したまえ
我らを試みにあわせず、悪より救い出したまえ
国と力と栄とは限りなく汝のものなればなり
アーメン
礼拝堂。
どこかロンシャンの礼拝堂に似ている気がする。
(まだ行ったことはないけれど^^;)
中央のガラス窓から光を取り入れるため通常あるべき中央の十字架がないのだけど、
その代わり、ステンドガラス部分に十字架が施されている。
このステンドガラスはキリスト受難の物語を伝える14枚で構成されており、
世界的なステンドグラス作家・三浦啓子さんが制作されたそうです。
座席。
以前の建物にあった十字架。
十字架の書。
世界の聖書展示コーナーもあります。
小礼拝堂。
狭すぎて全体像を捉えることができないけど、模型ではこんな感じ。
こぢんまりながらもなかなか魅力の詰まった教会なのだけど、
惜しむらくはその立地。
斜面上に立っているため、
片側は土手、片側は住宅と全体をくっきり見渡せるスポットがなかなかない。
遮るもののない、小高い丘の頂上にあるとさぞかし絵になると思うんだけどなあ。
続いて直島ホール。
ここも今年の新スポットだから、さぞかし混んでるだろうなあ...と思ってたんだけど、
いざ行ってみると、意外と空いてた。
まあ、でっかい箱があるだけの場所なので、そんなに見るところもないのかもしれないけど、
自分的には豊島美術館に匹敵するくらいの魅力的な大空間に感じた。
公民館・民生会館があった場所に建てられており、それらの建物の機能を継承しつつ、
よりソーシャル・コミュニケーションを活性促進していくものなのだろう。
外観はいたってシンプル。
巨大な屋根が特徴的でもある。
まだまだ発展の余地のある庭園。
この樹ももっと大きくなれば、魅力的な癒やしの空間になるなあ。
内部ホール。
豊島美術館を四角くした感じ。
和室。
模型。
集会所。
こうしてみると、贅沢な集会所だよなあ...
昼前には目当ての二つの建築を見終えたので、
本村の家プロジェクトやANDOミュージアムを見て、地中美術館に行くことに。
こちらは相変わらずの混雑で、整理券をもらって1時間以上の入場待ち。
とりあえずつつじ荘まで移動してランチ。
それでも、前回に比べれば待ち時間は少なかった気がする。
前回は中に入ってからもかなり待った気がするけど、
今回はどこも10分以上待つことはなかったかな。
秋のほうが混むのかな...
最後に宮浦地区をぶらぶら。
新しい宮浦のお出迎えシンボル、藤本壮介「直島パヴィリオン」。
前回は人でごった返す直島に幾分幻滅したけれど、
今回は炎天下で大変だったけれど、
前より直島を楽しめた気がする。
直島に馴染んできた、ということなのかな。
これが地域と共にある作品の魅力なのかな。
こうした芸術祭の良い所は、「環境との融合」にあると思う。
これまでの美術館等でのハコモノ展示は逆に「環境からの隔絶」で作品の個性を引き立てるけれど、
芸術祭では展示地域との関係性を考えることで作品の個性を際立たせると同時に、
その地域固有の魅力も引き立たせることにもなり、新しい地域活性化のあり方でもあると思うのです。