シェル美術賞展2007【京都市美術館別館】

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シェル美術賞展に行ってきました。
大学の「現代美術」の授業でタダ券くれたからですが、
当初東京は代官山ヒルサイドフォーラムで開催されていた東京展を
見に行くつもりだったのですが、堀木エリ子展と同じく行きそびれて
今回の小旅行で京都展を見に行くことにしたのでした。

京都展は京都市美術館別館で開催されてます。
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別館というからたいした建物じゃないのかな、と思いきや。
さすが京都、別館もすごく立派でトラディショナルです。

ちなみに京都市美術館本館はこちら。
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こちらでは日展が開催されていましたが、今回は時間の都合上断念。


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チケット。
タダ券でGETしましたが買っても400円程度です。

シェル美術賞は昭和シェル石油の社会貢献事業の一環として行われているもので、
その審査員の一人を現代美術の講師である蔵屋美香先生が担当しています。

自分は絵に関しては素人なので絵の優劣のつけ方は分からない。
ただ絵を見るのは好きだし、デザインの構成原理として参考になる部分もあると
思うのでできるだけ美術館には足を運ぶようにはしています。
画家という職業がある以上、その仕事を評価する手段としてこのようなコンペが
あるのは理解できる一方で人間の好みというエゴが入るこの世界で、
絵に優劣をつけることに少なからぬ抵抗感があるのも事実。

グランプリ福島淑子さんの「夢の続き」と他の入選作品との差異がよく分からない。
ぶっちゃけ言ってしまえば入選作品のほうが素晴らしい、と思うものもある。
絵に素人な僕から見れば、技巧的に明らかに複雑で難しいものや、
なんの先入観もなくぱっと見て、「ああ美しい」と思えるもの、
多くの人がそう思うだろうなと思うものがたぶん「いい作品」に見えるのだと思う。

でも自分としてはそれでいいと思う。
自分は絵の審査をしたいわけじゃないし、ましてや画家として生きたいわけじゃない。
自分がどんな絵が好きで、なぜこの絵が好きか、が分かればいいのだから。

こういう展示会ではいろんな人の作品が見れるので自分の指向性(嗜好性)を探る、
という意味ではいい機会です。
さらに京都展では2003-2004年の入選者の作品も展示していて、
京都まで来た甲斐もあったというもの。


気に入った作品は、

植木敬子さん「空虚」、三宅由希子さん「何も感じない」、吉住暁さん「匂いの行方」、
瀧口経太さん「髪」、サガキケイタさん「In the Garden」、
鈴木健司さん「CLIMB EVERY MOUNTAIN」

...あたり。
サガキさん以外は「美しさ」に惹かれました。
サガキさんの作品は遠くから見れば普通の街の風景、
近くで見れば無数のアニメのような絵の集合でその緻密さに圧倒されました。

植木さんの作品は以前Bunkamuraで見た鈴木雅明展さんの
ぼかした光の中に見出される美しさに通ずるものがあるのかなあ、と。

三宅さんの作品は、少女が水に横たわっているものですが、
図録で見るととくになんの魅力も感じないのですが、
実際の絵を見ると水に浸かっている部分とそうでない部分との表現の差異に
なんともいえぬ心地よさ、というかそういうものを感じました。

そのほかの作品も三宅さんと同じく絵を「生で見る楽しさ」というか、
そういうものを感じさせてくれたことが気に入った理由でしょうか。

良い絵ほど生の絵を見るのと図録などの写真で見たときの差が
大きく感じるものなのでしょうか。
また生の絵でもガラスケース越しだとやはりその魅力は半減しますよね。
そこには絵画を単なる二次元平面と片付けてしまうことの出来ない、
厚く重ね塗られた絵の具やキャンパスの質感も
絵画が持つ質感、クオリアを構成する大切な要素ではないのでしょうか。


40分ほどで鑑賞し終わって、最後に図録を買って会場をあとにしたのでした。

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[図録: 1000円。表紙の手触りが心地よくてイイです]