ゲルハルト・リヒター 14枚のガラス/豊島【愛媛県上島町】

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Facebookグループでの投稿で知り、行ってきました。

アートの島「豊島」といえば豊島美術館のある香川のものが有名ですが、
愛媛にも「豊島」があるんです。
香川の豊島が「てしま」と読むのに対し、愛媛の豊島は「とよしま」と読みます。

愛媛の豊島は現在は無人島となっています。
そこにゲルハルト・リヒターの美術館があります。
香川の豊島に比べるとちょっと寂しいですが、
無人島にある美術館ってなかなか雰囲気あっていいものです。

美術館と言っても、建物の中には190センチ×180センチの透明なガラス板が14枚、
約8メートルにわたって並べられているだけ。
14枚のガラスは一見平行に並んでいるように見えますが、
少しずつ角度を変えてハの字状に並んでいます。
リヒターによるガラスの立体作品としては、最後にして最大のものだそうです。

陸側からは先が見通せるけれど、海側から見ると先が見通せないという
マジックミラーのような不思議な空間。


リヒターはどのような想いでここにこの空間を創ったのでしょうか。


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リヒターは同作の別称として、「futility」という言葉を提示した。「無用(無益)であること」「目的のない行為」などと訳されるこの言葉は、作品の有り様を象徴的に示すのみならず、プロジェクトの趣旨を鑑みても意味深長で、幅広い解釈を許すものだろう。ここは美術館のように制度化された場所でもなく、都会のアート・スペースでもない。特別に何かの成果を求められているわけでもない。だが、時の流れの中で、美しいイメージを創出し続ける。それは本来、全ての芸術に当てはめられるべき言葉ではないか。芸術は無用であるからこそ貴い。豊島は、水の神である龍が、海から天に昇る際にひらりと落とした一枚の鱗であるという伝説がある。この無用の島が無用の芸術を抱き、静かに輝き続けることを願う。(林寿美[インディペンデント・キュレーター]、カタログより)


豊島の港。

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豊島へは定期船は朝と夕方の1日2便のみ。


港からすぐの「ヴィラ風の音」。

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滞在施設のようですが一般開放しているわけではなく、
美術館見学者には休憩所として機能しているようです。
ここでまず受付(名前、連絡先を記帳)をして、
簡単な説明を受けていざ出発。


階段を昇ってると...

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左手に現れる巨大な箱。

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いよいよ中へ。

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海への眺望はクリアですが...

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陸への眺望は乱反射して見通せない。

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背後にそびえる竹林。

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この日は日中は良い天気だったのですが、
島に到着したと同時に曇りはじめてしまいました。
夕陽がこの美しい箱に差し込む絶景を見たかったのですが残念。


青い家。

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HPシェルのロッジ。

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帰りの船までの間、しばし島を散策。

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ヴィラに戻って、しばし休憩。

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スタッフの方としばし会話。

この美術館は広島県神石高原町にあるNPO法人ピースウィンズ・ジャパンが、
同じく神石高原町に本部を置くNPO法人瀬戸内アートプラットフォームと協力して行う
芸術振興活動の一つだそうです。

リヒターもこの島を二度ほど訪れているそうです。

ゲルハルト・リヒターという人がどういうアーティストなのか、
正直なところよく知りません。
Wikipediaによれば「現在、世界で最も注目を集める重要な芸術家のひとり」であり、
「ドイツ最高峰の画家」と呼ばれているそうですが、
日本ではあまり馴染みがないですよね。


「なんのためにあるのか」

芸術をそういう目で見る限り、その先にある無限の拡がりは感じられないんでしょうね。


訪問日: 2018年10月14日(日)夕方

【Information】オフィシャルサイト(瀬戸内アートプラットフォーム)

アクセス: 広島県尾道市の因島・土生港より船で30〜35分程度
      ※土生港⇔豊島の往復便数は朝と夕方の二便のみ

開館時期: 2018年は9月1日〜10月31日の土・日・祝日限定公開
      ※基本的に開館は不定期なので、事前にご確認ください。

開館時間: 8:45〜18:00
      ※船の便を考慮すると現地の滞在時間は1時間15分〜1時間半程度。

観覧料: 無料