[図録 2500円]
ルノワール親子の展示会へ行ってきました。
Bunkamuraザ・ミュージアム。
印象派の巨匠画家ピエール=オーギュスト・ルノワールには
三人の息子がいました。
長男ピエールは俳優、次男ジャンは映画監督、三男クロードは陶芸家という
家族そろっての芸術一家。
本展はその中でも次男ジャンとその父の画家の作品を中心に展示。
映画監督ジャンの作品の随所に父の作品へのオマージュが見られます。
尊敬できる父親がいること。
これぞ男の幸せ。
<ピエール=オーギュスト・ルノワール>
[フレデリック・バジル「ルノワールの肖像」(1867年)](出典:Wikipedia)
(※本作品も本展で展示されていました)
印象派の巨匠。
自ら肖像画家と称したようにその絵のほとんどが人物像。
本展では風景画も展示してありましたが、
やはり風景画はモネのほうが数段好き。
ルノワールの絵に登場する人物は、
この世の全ての人が善人であるかのように皆穏やかで柔らかな表情をしている。
とても穏やかな気持ちにさせてくれる一方で、
刺激を求める、という点ではちょっと物足らない感もなくはない。
本展で一番気に入ったのは「読書する少女」。
ルノワールの作風とパステルの特色がすごくマッチして
より柔らかな感じがしていいな、と。
痩せぎすで鋭い眼光の父親に比べて、こちらはでっぷりと貫禄ある風貌。
絵画と映画という媒体の違いはあれど、
確実に父親の遺伝子がその作品に反映されている。
自然や人間の持つ「柔らかさ」というものが
映画作品の中にもあるような気がしました。
さすがに映画作品を全編流すわけにはいかないので、
数分程度のキーとなるシーンをピックアップしてリピートで流してました。
父親の絵画作品と息子の映画作品との対比を見ていると、
絵画と映画という媒体の違いを越えて、
息子の作風に父親の作風が色濃く影響しているのがよく分かります。
子は親の背中を見て育つ、という理想の姿がそこには見えました。
「草の上の昼食」☓「陽光の中の裸婦」
[陽光の中の裸婦(1875年−1876年)](出典:Wikipedia)
「草の上の昼食」というタイトルから、
「草上の昼食」を描いたマネの影響もあるような気がするのは自分だけだろうか。
「ピクニック」☓「ぶらんこ」
[ぶらんこ(1876年)](画像は大塚国際美術館の陶板画)
「ピクニック」は大学の授業で観ました。
「恋多き女」「フレンチ・カンカン」☓「田舎のダンス」
[田舎のダンス(1883年)](画像は大塚国際美術館の陶板画)
一番のお気に入りは「フレンチ・カンカン」。
大勢のショーガールがラインダンスを踊るシーンが華やかで美しくてよかった。
この「フレンチ・カンカン」との対比に「田舎のダンス」を持ってきているのですが、
自分はどちらかといえば、「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」のほうがイメージには近いと思った。
[ムーラン・ド・ラ・ギャレット(1876年)](画像は大塚国際美術館の陶板画)
(本展では展示されていません)
正午過ぎに会場に入って、人はそれなりにいましたが、
混雑を感じるほどではなく、じっくり鑑賞することができました。
1時間半ほどで鑑賞を終え、最後に図録を購入。
2500円なり。
トイレに行くと次回の告知がしてありました。
実はアヴァンギャルドってどういうものなのか、よく分かっていないので
ぜひとも行って確認したいです。
1階に上がるとギャラリーで日本写真芸術専門学校の卒業作品展をやってました。
チラッと覗いた程度ですがけっこう面白かった。
写真にも個性というか、作風があるんだなあ、と。