またまた行きたい美術館を見つけました。
新日曜美術館で紹介されていた佐川美術館の樂吉左衛門館。
佐川美術館は佐川急便が運営する琵琶湖畔に佇む美術館で
日本画家の平山郁夫の作品を展示する平山郁夫館、
彫刻家の佐藤忠良の作品を展示する佐藤忠良館に加えて
2007年9月に陶芸家の樂吉左衛門の作品を展示する樂吉左衛門館がオープン。
佐川急便もなかなか文化振興に力を入れてるようで。
[佐川美術館オフィシャルサイト:ギャラリーより]
樂吉左衛門館は「茶室」として建てられています。
設計は樂吉左衛門自身と大手建築会社との共同設計。
コンセプトを樂氏が考え、建築会社が技術設計を行ったようです。
その大部分は安藤忠雄の地中美術館のように地下にあり、
地上は大きな池となっていて、その池の下に地下部分がある。
茶室は2つあって、1つは地下に、1つは地上の池の真ん中あたりに顔を出しています。
正直自分は陶芸にも茶道にも詳しくありません。
この建物に僕が引かれたのはやはり「建物」としてのこの茶室の存在意義です。
この茶室の最大の特徴は黒いコンクリートで建てられていることにあります。
通常茶室といえば古い日本家屋のように木造で造られるもの。
その常識を覆していながらも日本古来の空気に調和する造りとなっている。
そこにこの茶室の凄さがあると思うのです。
一方でこれからの建築は本当にコンクリートでいいのか。
自然と調和する建築材となりうるのか。
もしそうじゃないならコンクリに代わる材料を考えなければならないのでは?
...コンクリについてほとんど知識がないくせに先入観でそう思っています。
もっとコンクリをはじめとした建築材についてもっと勉強する必要があるようです。
<追記>
半年後、念願かなって行くことができました。
樂吉左衛門館はもちろん、平山郁夫館、佐藤忠良館もなかなか素晴らしい空間でした。
https://tadaoh.net/design/architecture/sagawa_museum.html
通りすがりのコンクリ技術者
日本コンクリート工学協会の会誌2008年6月号に丁度、樂吉左衛門の随筆が掲載されています。
『コンクリートという素材こそは、我々が近代という世紀を歩んだ証』であり、『我々人類はコンクリートという素材に近代の夢を託した』のだが、『コンクリートの永遠のイメージは脆くも』破られた、と、彼は主張。さらに、コンクリートには『愛着』と『自責憂愁』の『愛憎一如』を感じるが、近代が終わり、コンクリート全盛の時代も終わるのだという意味で『巨大なコンクリートの残骸がやがて都市を埋め尽くすだろう』と述べています。
つまり、彼は諸手をあげてコンクリートの茶室に賛同してるわけではないのですね。愛着を込めつつも、これは次の時代の素材ではない、という主張をこの茶室は発しているのだと思われます。
そんなわけで、このブログを読んで、「コンクリに代わる材料を考えなければならないのでは?」とまで感じさせた樂吉左衛門の芸術家としての技量に感心しました。私も見に行こうかな~と思ってみたり。あ!見る人の感受性、という面も多分にあるかと思いますが…(汗)
長文失礼しました。
tadaoh
通りすがりのコンクリ技術者さん >
はじめまして。貴重なコメント、ありがとうございます。
コンクリ専門の方からのご意見、勉強になります。
これからの建築素材としては、堅牢性を確保しつつも生き物らしい、そして地球に優しいものが出てきて欲しいです。
そんな次世代のコンクリを開発してくださいっ!
tadaoh
1年越しで念願かなって行ってきました~
レビューはこちら。
http://tadaoh.net/design/2009/03/post-441.html