世界初の陶板名画美術館・大塚国際美術館1【徳島県鳴門市】

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徳島県鳴門市の大塚国際美術館に行ってきました。
愛媛の山奥から片道9時間(下道)かかりました。;;


この美術館は世界の名画を陶板で再現した世界初の「陶板名画美術館」だそうです。
また「行ってよかった日本の美術館&博物館」で1位に選ばれたこともあるそうです。
古代から現代までその数千点以上。
高い保存技術でその品質は二千年以上経っても色褪せないそうです。


陶板はいわば高画質プリントである。
そしてそれは、絵画がただの二次元でないことを教えてくれる。
平面のキャンパスに描かれる絵画にも「厚み」があることを教えてくれる。


絵画は「グラフィック」ではなく、「プロダクト」なのだ、と。


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ホンモノが一点もない。
ここを美術館と呼ぶのにふさわしいかどうかを考えさせられる。
美術館、というよりは博物館と呼ぶほうがしっくりくる気がした。


美術館入口。

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入口から長いエスカレータでギャラリーまで登っていく、
という方式はMOA美術館に似ているけれど、
MOAはそのエスカレーター空間でさえ、ワクワクさせてくれるものがあるけど、
ここにはそれがない。

展示空間が地中にある、というのは直島の地中美術館に似ている。

エントランスのラウンドカーブはなかなかいいな、って思えたけど、
その中央にある「大塚国際美術館」のプリントにがっかりさせられる。


順路の一番最初は目玉のシスティーナ礼拝堂を模した「システィーナ・ホール」。

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ミケランジェロの最高傑作「最後の審判」が描かれていることで有名なシスティーナ礼拝堂。
システィーナ礼拝堂には行ったことないけれど、ガッカリ感が否めないのは、
たぶんこの礼拝堂が経た「時間」を感じさせないからではないだろうか。
新しすぎる絵に違和感を感じるのである。


スクロヴェーニ礼拝堂。

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「貝殻のヴィーナス」庭園。

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エル・グレコの部屋にある祭壇衝立復元。
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ロビー。

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モネの庭。

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高知県北川村にもモネの庭があります。


古代・中世はあまり興味がそそられず。
流す程度でさらっと。


絵画はやはり近代はルネサンスから面白くなる。

ルネサンスコーナー。

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幾何学的秩序、という意味ではまさにぴったりの空間デザイン。
しかしその対比としてのバロックエリアのデザインがされてればもっと良かったのだけど。


ゴーギャン&セザンヌコーナー。

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絵画としては一番面白い印象派以降。
しかしこの時期はもっとも絵の具が厚く盛られる時代。
プリントではその魅力も失われてしまう。


キュビスム以降は抽象化が進み、再び絵画のグラフィック化が進むのだけど、
ピカソの作品のセレクトがイマイチ気に入らず。
「泣く女」は入れて欲しかったなあ。

でもまあ、「ゲルニカ」はやっぱりスゴイ。

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写真撮影は基本的にOKなので、300枚くらい撮影したかな。
公式サイトでは「作品のみの撮影および商業目的の利用は厳禁」とあるけど、
あまりうるさく言われません...というより監視スタッフがほとんどいません。
監視カメラはまわってますが。


一番気に入った作品を一枚だけ。

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[ヨハン・ハインリヒ・フュースリー「真夏の夜の夢」]

シェイクスピアの「真夏の夜の夢」で、妖精の女王タイタニアが、
妖精の王オベロンの奸計によって、
やはり妖精によって頭部をロバに変えられた機屋に惚れてしまうシーン。


「行ってよかった日本の美術館&博物館」で1位に選ばれただけに、
反発を呼びそうですが、そういう反発ととくに議論をする気はありません。
単純に好き嫌いの問題でしょうし。

自分は本物が見たい。
たとえ色褪せてしまうとしても、その変化も本物の持つ魅力だと思います。
保存のための修復作業も大事だとは思いますが、
「時代」や「時間」を打ち消してしまうほどのものではあってはならないと思う。

ちょっと残念感が否めないけど、いろいろ考えさせられる部分もあった。
その点ではやはり「行ってよかった美術館」だったのでしょう。
しかし「もう一度行きたい美術館」ではないかな。

三千円という入場料は高すぎる。
たぶんこれまで行ったどの美術館より高い。
メトロポリタンだってこんなにはとらないよ。


【Information】オフィシャルサイト

開館時間:9:30〜17:00(入館は16時まで)

休館日:月曜日

入館料:一般3,240円 大学生2,160円 小中高生540円