[クロード・モネ『ラ・グルヌイエール』(1869年)](出典:Wikipedia)
最近のマイブーム、「僕の好きな絵」シリーズ。
風景画の多い印象派が好きですが、その中でもモネが一番好きです。
そのモネの作品の中で最も好きなのがこれ。
光を追求した印象派。
光は混色すればするほど明るくなる(最終的には白になる)のに対し、
絵の具は混色すればするほど暗くなる(最終的には黒になる)。
そこに気付いた画家は絵の具を混ぜ合わせず、
視覚的に混色させることを思いつく。
キャンパスに思いっきり近づいて絵を眺めると、
そこにはただ絵の具が塗りたくっているだけにしか見えない。
だんだん視点を遠ざけていくと...リアルな絵が現れる。
これがタッチと並んで印象派最大の魅力である「筆触分割」。
そして筆触分割による光の表現が顕著に現れるのが「水」なのです。
[ピエール=オーギュスト・ルノワール 『ラ・グルヌイエール』(1869年)](出典:Wikipedia)
「ラ・グルヌイエール」はモネとルノワールが椅子を並べて制作した絵として有名です。
二人が描いた絵を比べると、
ルノワールが水の上の人工島や船、遠景に視点を置いているのに対し、
モネはあくまで水面を主体に描いており、
彼の水を介した光の表現への並々ならぬ入れ込みが伺えます。
その入れ込みが引き出す「光」に引き込まれる。
こんなにも美しく、個性的な絵が、
発表当初は未完の習作と酷評されてたなんて信じられない。
安定による「当たり前」がいかに新しいものにとって脅威か。
でも安定を求めるのは人間の本能だから。
それでいて変化に魅力を感じるのが人間だから。
本当に良いものはじっくり時間をかけて作るべきなのだ。
そしてじっくり評価されるべきなのだろう。
それがスピードを求めすぎた20世紀に対する反省なのかもしれない。
良いものを作るにはたくさんのアイデア出しが必要だ。
とにかくなにも考えずに手を動かせばなにか生まれる。
偶然から得られるものもある。
それは正しい。
でもそれは全てじゃない。一つの手段でしかない。
そしてそこにスピードを求めすぎると良いものを見過ごしてしまう。
時には1つのことをじっくり考えることも必要だ。
だから僕はあせらない。
自分が作ったものがすぐに評価されなくても。
多くを学びながら熟考し、かつ自分の感性に敏感であるならば、
自分が作ったものをまず自分が好きになれる。
そして周囲もだんだん好きになってくれる。
...きっとそうなんだ。
そう信じることが大切なんだ。