平山郁夫氏逝去

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日本画家の平山郁夫氏が12月2日に逝去されました。


NHKで2007年に放送された新日曜美術館の平山氏の特集が追悼放映されてました。

同郷の人、ということで少なからずその訃報に悲しみを感じました。

...といっても昔から強く意識していたわけでもなく、
熱烈なファンというわけでもない。
美大に入って美術を学ぶようになってから、
高名ゆえにようやくその存在を知った程度なのですが。


前職の会社を辞めて美大に入る前、
自転車で瀬戸内のしまなみ海道を横断しました。
そのとき平山氏の美術館前を通りがかったのだけど、
その時はまださほど美術に開眼してなくて素通りしてしまいました。
今思うと残念。

その後伊勢神宮に旅行した折に佐川美術館に立ち寄り、
そこではじめて平山氏の絵をじっくり鑑賞しました。


1930年生まれ、広島出身。
終戦直前に広島に投下された原爆に被爆。
その後遺症で一時は死も覚悟したとか。

死の淵に接近した男はそこでなにを見たのか。
その答えが仏教をテーマにした絵や
130回以上にも及ぶ現地探訪により描かれたシルクロードの絵にある気がする。



【建立金剛心図】


日本画家でありながらその画風はどこかモダン。
この点で田渕俊夫氏に通ずるものがあるなあ...
と思ったら、田渕氏は平山氏に師事してたんですね。

以前田渕氏の個展を見に行ったとき、
印象派みたいだ、というレビューをしていますが、
平山氏の絵に比べるとやっぱりスーパーリアル。

平山氏の絵はきちんと丁寧に写実的に描かれているのだけど、
全体としてみるとどこかぼやけてるような感じがするのです。
そこが幻想的で、氏の絵の魅力となっているのでしょうけど。


仏教の悟りを絵画を通して描くことで自らの道を悟った。
そして自らを悟らせてくれた玄奘三蔵が辿った道を自らも歩き、描いた。
画家として成功してからも自らの道を失うことなく、その生を全うした。
これほど理想的な人生が他にあろうか。


人はいつか死ぬ、ということは分かっていても、
尊敬すべき人物を失うのはやはり悲しく、残念でなりません。

氏のご冥福を心よりお祈りいたします。