[希望号の難破(1824)](画像は大塚国際美術館の陶板画)
早いもので今週末は共通教育科目の前期末テスト。
西洋美術史Ⅱはルネサンス直後のマニエリスムにはじまり、
バロック、ロココ、新古典主義を経て、
フランス、ドイツ、イギリスの
3つの国のロマン主義を学んだところで終了。
ロココの軽薄さへの反動から登場した、
重厚でどっしりとした安定感のある新古典主義。
その新古典主義を継承しながらも、
心の奥底の感情表現が萌芽しはじめるのがロマン主義。
それはやがてバルビゾン派の登場に影響を与え、
クールベの写実主義を経て、印象派へと至る。
ロマン主義の代表的画家として
フランスではジェリコ、ドラクロワ、
ドイツではフリードリヒ、ルンゲ、
イギリスではコンスタブル、ターナーを学んだわけだけど、
自分のお気に入りはドイツのカスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(Caspar David Friedrich)。
自然の絶対的な静寂の中に神秘が宿る。
静寂でありながら光と影を明示的に使うことで
自然の厳しさ、躍動感を感じさせる。
真のダイナミズムとは、静寂の中の一瞬にあるのではないだろうか。
フリードリヒの絵の特徴は、近景は暗く、遠景は明るい。
それは「今は辛くとも、その先には明るい未来があるよ」という浪花節とも、
目の前は暗くとも、遠くに視線をやれば明るい世界もあるよ、という
「井の中の蛙、大海を知らず」的な教訓ともとれる。
まあ、いずれの解釈にせよ、彼の絵は静かで美しい。
どこまでも具象を描きながらも神秘的な雰囲気が漂う。