岡山県高梁市の備中松山城をあとにして、備前市の旧閑谷学校へ。
閑谷学校は江戸時代前期の寛文10年(1670年)に岡山藩主・池田光政によって創建された、
現存する「世界最古の庶民のための公立学校」です。
池田光政は水戸の徳川光圀、会津の保科正之とともに江戸初期の三名君と称されています。
はじめて閑谷の地を目にした光政は、「山水清閑、宜しく読書講学すべき地」と賞賛、
地方のリーダーを養成する学校の設立を決めました。
そして藩主の命を受けた家臣・津田永忠はおよそ30年の年月をかけて、
元禄14年(1701年)に現在目にすることのできる学校の姿ができあがりました。
以降300年以上も当時の様相を色濃く残すものとして国の特別史跡に指定されているほか、
敷地内の25の建物物等が重要文化財に指定されてており、
中でも講堂は学校建築として唯一、国宝の指定を受けています。
また、平成27年には「近世日本の教育遺産群」として、
特別史跡旧弘道館、史跡足利学校跡、史跡咸宜園跡などとともに最初の日本遺産に認定されました。
丸みを帯びた石塀に色鮮やかな備前焼の瓦の建物群は、
儒学の教える「仁政」に重きをおいた光政の方針とも相まって、
伝統的な日本建築とはちょっと違った独特な雰囲気を醸し出しています。
泮池(はんち)。
学校の前に横たわる細長い池。
中国の学校様式にならって作られたものだそうです。
学校を取り囲む765メートルの石塀。
備前焼の瓦と並んで、旧閑谷学校に独特の景観を生み出しています。
学校へ入る門は4つ。
(現在は観光客は一番右の受付から出入りし、これらの門から出入りはできません)
校門(鶴鳴門)。
聖廟の正面にあり、学校の正門であり、聖廟の表門でもあります。
公門(御成門)。
講堂の正面にある門。
藩主が臨額の際に使用される門。
飲室門。
飲室、習芸斎の前にあり、生徒が出入りする門。
校厨門。
学房(寮)への出入りに使われる門。
一段高い部分にある東御堂、西御堂。
閑谷神社(東御堂)。
学校の創始者である池田光政を祀っています。
聖廟(西御堂)。
儒学の祖、孔子の徳を称えるもっとも重要な施設。
一般者は中には入れません。
聖廟の前には二本の楷の木が植えられており、紅葉の名所となっているそうです。
残念ながら訪れた時はまだまだのようでした。
国宝の講堂。
校内最大の建物。
入母屋造り、しころ葺きの大屋根と火灯窓が荘重な独特の外観を形作っています。
火灯窓。
しころ葺きの大屋根。
鬼瓦。
内部。
十本の欅の丸柱で支えた内室と、その四方を囲む入側とで構成されています。
部屋内には入ることはできず、縁側から眺めるのみ。
「克明徳」の三字額。
岡山藩五代藩主・池田治政による書。
「克」は力を尽くして事を成し遂げる、
「明」はものを正しく見る力、
「徳」は善や正義をわきまえる高潔な品性、という人づくりの基本を説くもの。
小斎。
藩主が学校に訪れた際の休憩所。
習芸斎・飲室。
習芸斎はいわゆる公開授業などで社会人が通う教室、飲室は生徒の休憩所。
[飲室]
文庫。
いわゆる書庫・図書館ですね。
火除山。
寄宿舎と学舎を隔てる人工の山。
防火の目的で作られたもの。
学房(寄宿舎)跡への道。
資料館。
明治期に建てられた中学校の校舎跡。
現在は閑谷学校の様々な資料が見られる資料館になっています。
【Information】オフィシャルサイト
開門時間: 9:00〜17:00
休館日: 12/29〜12/31
入城料: 大人400円、小中学生100円、65歳以上200円
駐車場: 500台(無料)