大学の研究室で借りたDVD。
6つの建築と建築家を紹介するオムニバスDVDシリーズ。
いきなり第3巻から観たのは多摩美の助手さんオススメの建築家がいたから。
その建築家については別記事にて紹介します。
・シカゴ公会堂/ルイス・H・サリヴァン
・オペラ・ガルニエ/シャルル・ガルニエ
・カサ・ミラ/アントニオ・ガウディ
・セイナッツァロ町役場/アルヴァ・アアルト
・ラ・トゥーレット修道院/ル・コルビュジエ
・ユダヤ博物館/ダニエル・リベスキンド
六者六様の見所があるわけで。
シカゴ公会堂はシカゴの街の名前の由来になった建物。
近代建築の巨匠ルイス・サリヴァンの設計ですが
彼はかのフランク・ロイド・ライトの師としても有名です。
どんな建築をするかはこのDVDではじめて見たわけですが、
余分な装飾を廃した近代建築の巨匠といえども、
ライトやコルビュジエ、ミースの時代に比べればまだ所々に
装飾の痕跡は見られます。
構造的にも機能ごとのブロックを外からも中からも容易に分かるような、
シンプルと言うよりは安易な分け方。
とはいってもそこには長年の過剰なまでの装飾を廃し、
「form follows function(形態は機能に従う)」というコンセプトにより
建築の可能性を広げる、という功績があるのでしょうね。
彼がいたからこそ後のライト、コルビュジエ、ミースがある。
現在ではサリヴァンの建物はほとんど残ってないそうですが、
このオーディトリアムは石造りで壊すのにお金がかかるからという理由で
取り壊しの難を逃れて今に至っているとか。
チャンスがあれば訪れてみたいものです。
シカゴはミースを中心としたモダニズム全盛の建築も多いですし。
[オペラ・ガルニエ(パリ・オペラ座)](出典:Wikipedia)
[オペラ座内部](出典:Wikipedia)
オペラ・ガルニエ、いわゆるパリのオペラ座ですが、
こちらはさらに時代はさかのぼってナポレオンの時代のもの。
ネオ・バロック様式で装飾はより過多になる。
豪華な装飾は美しいけど、建物の造形的にはシカゴ公会堂と
同じく機能ごとのブロックを安易に並べただけであまり美しいとは思えない。
が、菱形の土地に建物を上手く配置しています。
あと玄関から客席へと続く階段のスケールが圧倒的。
[カサ・ミラ](出典:Wikipedia)
続いてガウディのカサ・ミラ邸。
一連のガウディ作品は世界遺産にも登録されているほど秀逸で、
是非とも訪れてみたい建築のひとつなのだけど、
依頼主のミラの言うことを聞かずわがままし放題、
というエピソードにはちょっとがっかり。
ミースのファンズワース邸と同様に施主と裁判沙汰になり、
ミースと同じく勝訴したらしいですがせめて情熱をもって施主を説得してほしいもの。
まあ建築家は営業マンではないし、時代を先取りしすぎたデザインを一般の人に
理解させるのは大変だったんでしょうけどね。
わがままし放題やったからこそ、世界遺産として今も残り続けているわけで。
施主の要望通りしていたら今のカサ・ミラはなかったでしょう。
直線のない有機的な曲線はやっぱり美しい。
サグラダファミリア、カサ・バトリョ、グエル公園と共にいつか訪れてみたい。
[セイナッツァロ町役場]
次はアアルトのセイナッツァロ町役場。
住宅、店舗、事務hそ、会議室、図書館などの複合施設。
SD選書のアアルト本の記事でも書きましたがアアルトの建築はその外観よりも
内部空間が魅力的なのが特徴でこの建物もその特徴がよく表れています。
またレンガ素材も建物を味わい深いものにしています。
[ラ・トゥーレット修道院](出典:ル・コルビュジエ財団公式サイト)
続いてコルビュジエのラ・トゥーレット修道院。
ロンシャン、フィルミニ礼拝堂と並ぶコルビュジエの代表的な宗教建築。
ロンシャン、フィルミニが曲線的なのに対し、こちらは四角形で直線的。
それゆえロンシャンやフィルミニと比べると多少地味な感は否めないけど、
コルビュジエ独自の尺度モデュロールが採用されていてなかなかステキです。
[ベルリン・ユダヤ博物館](出典:Wikipedia)
最後がダニエル・リベスキンドによるベルリンのユダヤ博物館。
6人の建築家のうち、唯一ご存命中。
多摩美の助手さん一番のオススメ。
ザハと同じくらい奇抜でモニュメンタル。
ザハと違うのはザハが曲線を多用するのに対し、こちらは直線を多用すること。
彼についてはまた別途紹介します。
いやー、まだまだ知らない建築作品、建築家がいるなあ。
世界は広い。