土佐清水市のR321から険しい山道を登り切り、
足摺岬へ向かって下っていると突如あらわる白亜の殿堂。
レストラン、天然温泉(プール)施設を備えた宿泊施設「足摺テルメ」。
今回は宿泊はせず、温泉だけ入ってきました。
駐車場側からは独特のエントランス以外はほとんど建物の形状が見えず。
エントランス横の階段を上がるとようやく建物の反対側が見えてきます。
レストラン、天然温泉(プール)施設部分は海に突き出る岬のごとく、
客室部分は斜面形状に沿って地中に埋め込まれたが如く。
実に見事に大地と融合しているように見えます。
さぞかし名のある建築家が設計したのかな、とググったら。
團紀彦さんが1998年に設計したらしいのですが、
オフィシャルサイトのWorksには掲載されておらず。
実際のところはどーなんでしょ。
どんなに優秀なデザイナーがデザインを行ったとしても、
そのデザインを利用するユーザー、「デザイニスト」が
そのデザインの意図を理解していなければ、そのデザインは生きてこない。
もっともデザイニストに理解してもらえるようなデザインをすることも、
デザイナーの力量が問われるところではあると思うのですが。
逆にデザイニストの柔軟な発想によりデザイナーのデザインがさらに活きることもある。
うーん、デザインってムツカシイ。
でも、だからこそデザインはオモシロイ。
エントランスは駐車場側にあります。
駐車場は建物の5階相当部分に位置しており、
入口もそこから下りていく、という独特の導線。
駐車場側からは建物の形状がほとんど見えず、独特のエントランスが際立ちます。
エントランス横の階段を登るとようやく建物反対側が見えてきます。
温泉エリア。
海に突き出る岬のごとく。
ホテルエリア。
斜面に埋め込まれ、大地と同化するがごとく。
建物反対側を見ても、建物の全形状は見えず。
「建築は大地からの切断を疑うところからはじまる」
...と隈研吾さんは「負ける建築」で言ってましたが、
こういう建築を見てるとどこまで大地と同化できるか、
が建築の能力の一つのような気がします。
さて、エントランスから入って中へ「下りて」ゆきます。
大地から入って上へ上がっていく通常の感覚とは逆でなんか奇妙な感覚。
自然光が差し込むスロープを抜けて温泉エリアへ。
露天風呂からは鮮やかなオーシャンブルーが映える水平線。
アクセントに置かれている小物たちにもセンスの良さが感じられます。
再び外に出て。
駐車場の一番奥にある小さな展望台。
「恋人の聖地」みたいです。
「恋人の聖地」は室戸岬にもありますね。
岬は恋人たちの集う場所なんでしょうか。
感性から15年経た今もそのデザインは斬新さを失っていないのだけど、
哀しいかな、その空間の使われ方がちょっと雑になってるような気がしました。
露天風呂には屋根がついているのですが、
その天井が汚れていたり、錆びついてたり、クロスが剥げかかっていたり。
また、脱衣場をプールと兼用しているのですが、使い勝手が悪かったり。
せっかくの良いデザインがちょっともったいない。
やっぱり良いデザイニストって重要ですね。
【Information】オフィシャルサイト