PLUTO 【浦沢直樹】

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PLUTO (1) 【豪華版】
PLUTO (2) 【豪華版】
PLUTO (3) 【豪華版】
PLUTO (4) 【豪華版】


手塚治虫原作の『鉄腕アトム 史上最大のロボット』を浦沢直樹がリメイク。
現在第四巻まで刊行。
通常版と豪華版の二種類があります。
豪華版は通常版よりサイズが大きく、装丁が豪華なだけでなく、
各巻ごとに付録がついてますが第1巻の手塚治虫のオリジナルの
「史上最大のロボット」以外はあまり魅力的なものはないかな。

ちなみに第二巻の付録はチョコのおまけについていたシール、
第三巻、第四巻は若かりし頃の浦沢直樹の作品集、といったところ。


リメイクとはいってもデザインもストーリーもかなり変更が加えられています。
オリジナルは一冊で完結するシンプルなものですが、浦沢版はよりリアリティ
を追求し、人間の感情の奥深くに踏み込んだものになっています。

また浦沢版ではアトムが主人公ではなく、スーパーコップ、
ゲジヒトが主人公のようです(四巻でアトムは死んじゃうしね)。


ロボットが誕生してからというもの、数多くのロボット物語が生まれた。
その物語の多くが究極のロボット象は限りなく人間に近づく、というもの。
しかしどんなに科学が急激に進歩しているとはいっても、
鉄腕アトムの誕生日である2003年の時点で人型ロボットはまだ
実験レベルでとても実用レベルにあるとは言い難い状態。
それほど「無機質の人間」を作ることは難しい。

この物語ではロボットはどこまで人間に近づくことができるのか、
そしてそうすることが人間にどういう影響をもたらすのか、
またどういう意味があるのか、注意深く読者に訴えかけています。

「最高のロボット」とは?
「最高の電子頭脳」とは?
ロボットは感情を持ち得るのか?
限りなく人間に近づいたロボットは「ロボット三原則」を遵守するのか?


  「人を殺すほどの強い憎悪こそが...電子頭脳を育てるのだ」
  「間違う頭脳こそが完璧なんだ。
   その時誕生するのだ。地上最大のロボットが...」


天馬博士のこの台詞がこれらの答えを、PLUTOの正体を暗示しています。
同時に失敗から成長する人間の特性をも暗示しているようにも思えます。
だから人々はこの物語から目が離せない。

ロボットから人はなにを学ぶのか。


ああ、第五巻が待ち遠しい~!