彼と彼女の第2章

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

41D63WCBJ1L._AA280_.jpg

このビデオをAmazonで買う


原題は"FORGET PARIS(パリは忘れて)"。

1995年の作品らしいですがAmazonでチェックする限りDVD化されてなく、
VHSしかないみたいです。DVDで観れない作品ってけっこうあるんですね。
すごくいい作品なのにもったいない。


物語はとある夫婦の物語。
男はプロのバスケットボール審判、女は空港職員。
二人はパリで運命的な出会いをして、恋に落ち、結婚...

...とここまでは単なるラブ・ロマンス。
この物語の持ち味はこのあとの結婚生活にある。


どんなに愛し合っている二人でも、
違う人間が1つ屋根の下に長く一緒に住むということは難しいものなのです。

「愛があればどんな困難も乗り越えていける」


...素晴らしい。しかし現実はそうじゃない。
別に愛し合う二人を失望させたいわけじゃありません。
逆に幸せになってもらうためにこの作品を観てほしいし、
そのために少しでもヒントとなる記事を書きたいと思います。


その上で。
「好き」という気持ちだけでは、違う個性を持つ二人が一つ屋根の下で、
長い人生一緒に暮らしていくことはできないのですよ。
人生そんなに甘くない。

もちろん「好き」という気持ちが根底にあることは絶対条件です。
その根底にいろいろ肉付けしていかなきゃならないものがある、ってこと。


「そんなに仕事が大事なの?私より仕事を取るの?」

...結論から言えば最初の質問はYesです。
しかし二番目の質問は「お父さんとお母さんどっちが大切なの?」という
質問くらいナンセンスな質問だと僕は思う。つまりどちらも大切なもので
お互いを補完しあうものでどちらを欠いてもダメだということ。


お互いの仕事の都合上なかなか二人一緒に過ごす時間が取れない。
子供をつくろうとするけどなかなかウマク行かない。
出会ったときはあんなに愛し合ったのに最近ではキスもしない。
昔はそんな大人にはならないぞ、と思っていたものが気づけば
自分たちもそんな夫婦になっていた...

...ってな話はよくある話ですよね。
なぜなんですかね?


人間は「忘れゆく」生きもの。
忘れてゆくことで新しいものを取り入れ、進化していく生きもの。
それが人間がここまで進化してきた所以なのだと僕は思う。
忘れゆく記憶を記録することで人は過去を知ることができるのです。

その特性上からいえば、どんなに情熱的な愛もいつかは冷める。
中にはいまだに出会った頃の気持ちで愛し続ける二人もいますが、
だからといってそれが本当の愛で、いずれは冷める愛がニセモノの愛、
ということにはならないと思うのです。
二人の気持ちに偽りがなければどちらの愛もホンモノだと思う。

二人が長く一緒にいるために必要なものは「愛の深さ」ではなく、
単にどれだけ一緒にいようとするかを「意識」し、「工夫する」か。
そういうことだと思うのです。

「好きであれば一緒にいるための努力なんて必要ない」
...そう思っているうちは長く一緒にいることなんてできない。
中にはできる二人もいるのでしょうがそれはたまたまうまくいってるだけか、
類まれなる幸運で相性抜群なのか、はたまた二人一緒にいる努力をとくに
意識しなくてもできてしまう人なのか。

いずれにしてもそういうのはごく少数の「ラッキー」な人たちに限られたもので、
世の多くの人は、多少なりとも二人一緒にいる努力をしなければならない、
と僕は思う。

では「二人一緒にいるための努力」とはなんなのか?
まずは相手の特性を知ること。
だから好き合う二人は相手のことをもっと知りたいと思うのでしょう。
しかし知ればそれでいい、というわけでもない。
また、相手の全てを知ることができるわけでもない。

そこで次にすべきこととしては「受け容れること」。
相手の全てを知ることはできないのだから、
知らない部分も含めて相手の全てを受け容れること。
相手に何がしてほしいかを考えることじゃなくて、
相手のために何がしてあげられるか、何をしたいか、それを考えること。
自分を見失うことなく相手を受け容れること。
だからそれは自己貢献であって、自己犠牲ではない。
それが相手を「信じる」ということではないでしょうか。

どれだけ信じ続けられるか。
それが結局どれだけ長く一緒にいられるか、
どれだけ長く愛し続けることができるか、ということに繋がるのだと思う。


しかし口で言うのは簡単だけど、いざ実践するとなるとけっこう険しい道。
ときには投げ出したくなるときもある。
そんなときに必要なのが一人で居る時間であり、友達と居る時間なのです。
そういう時間は独り者ではなく、長く一緒に過ごそうとする夫婦にこそ
必要なものなのです。


だから結婚前に上手な一人での過ごし方と良い友達を見つけておくこと。
結局はこれに尽きる、ということでしょうか。