舞の海が隣町にやってきた。

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平成23年度えひめ国体開催PR事業で元関取の舞の海関が
相撲の里・野村町の乙亥会館に講演で来られました。


演題は「可能性への挑戦」。


正直相撲にそれほど興味があるわけではありません。
舞の海関もあの小さい身体で一回りも二回りも大きい力士を相手に闘っていた力士で、
今は相撲解説やスポーツキャスターで頑張っている、という常識くらいしかなく。

それがなぜ、話を聞きに行こう、と思ったのだろう。

ただ、有名人が見たい?
演題に興味が湧いた?
たぶん、そのどちらもかもしれない。
あとは、そう、モチベーションが得たかったのかも。


ちょっと迷って、結局行くことにして、開演20分前に到着。
すでに駐車場は満杯。さすがの集客力。
ちょっと遠くの駐車場に止めて、何とかギリギリ開演前に会場に到着。


やっぱり行ってよかった。

予想外に話がとても上手。


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「可能性への挑戦」という演題ですが、
内容はいたってシンプルで、自分の引退時の状況からの説明にはじまり、
引退後の解説の仕事の裏話、世間を騒がせている角界不祥事、
角界の中の裏話、入門テスト時の苦労話など、
ここまで話してくれるの、というくらいオフレコモード全開でした。

地元のケーブルテレビだと思われるテレビカメラが入っていましたが、
たぶん音声はカットなんだろうなあ...


あまり抑揚のない声なんだけど、どこか人を安心させる魅力がある。
ちょっと声が低くて二階席だと聞き取りづらい部分もあったけど、
総じてここまで上手なのか、というくらい話が本当に上手い。
やはり解説者の仕事をされているからなんでしょうか。


入り口でもらった紹介ビラを見ると、生涯戦歴、幕内戦歴ともに負け越しているんですね。
それでも技能賞受賞を五回も受賞しているのは、各界最小という相撲取りとしては
致命的なハンデを背負いながらも並々ならぬ努力と工夫を重ねてきた結果なのでしょう。
だからこそ、言葉に力がある。
お話はたしかに上手なんだけど、話の上手さに人は惹きつけられるのではなく、
きちんとした結果を出していることで言葉に力が加わるのだと思います。
言葉は主体ではなく、事象を補完する客体でしかないのでしょう。


それにしても、
相撲取りになるために必要な身長が足らず、頭にシリコンを入れた、という話はすごかったな。
普通ならあきらめる問題をあきらめずに常に前向きに解決策を模索し続ける。
まさにそれは「可能性への挑戦」。
「好き」というエネルギーが彼を動かし続けたのでしょうか。

相撲を変に美化することもなく、
相撲の持つ魅力と恥部を臆することなく雄弁に語る。
相撲がなぜ、現代に到るまで永らえてきたのか。
単に相撲自身が魅力的であるだけではなく、巧みに権力に寄り添って生き抜いたしたたかさ。
世間を騒がせている昨今の角界の不祥事も、外国人力士の増加と共にスポーツ視されるようになり、
長い歴史の中で単純にスポーツと割り切れない角界の内情と世間とのギャップ。
生きる手段として必死に活動する外国人力士と軟弱化する日本人力士との広がる実力差。
それによって脅かされる国技としての地位。

この人は本当に相撲が好きなんだな、って感じました。
そして言い得て妙、の鋭い洞察力。


魅力というものは、それを好きで好きでたまらない人から伝えられるものなんだな、
ということをあらためて実感しました。

だから僕も地域づくりを好きになりたい。
地域を好きになりたい。
地域で暮らす人と環境を好きになりたい。

だから地域の魅力を探し続けている今の自分の活動は決して間違ってないんだな、って思える。


ありがとう、舞の海関。
いいモチベーションアップになりました。