地域から交番が消える日

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どの地域にも必ずあるものの一つに、駐在所(もしくは交番・派出所)があります。
当然、遊子川地区にも駐在所があるわけなのですが、
この駐在所がなくなるかもしれない旨の説明会が愛媛県警から行われました。
この説明会は地域の全住民が対象、というものではなく、
各自治会区長と各種関連団体役員を対象としたおよそ20名程度に対して行われました。
僕は区長代理で出席しました。


駐在所は地域の治安を守るためのものです。
それがなくなる、ということは地域住民にとってはかなりの不安材料になるわけで。
駐在所がなくなることを手放しで喜ぶ人は地域内の誰ひとりとしていないのは明らか。

都会に比べれば、確かに田舎は平和です。
しかし都会には都会の危険があるように、田舎には田舎の危険がある。
自然に近い、という点において、田舎は自然の脅威にさらされている。
自分たちの地域を守るために警察や消防とは別に自主防災組織が組織されるほど。
それだけ田舎は「守る」という行為が重要なわけで。
田舎は保守的、というのもある意味至極当然の摂理といえます。

単純にこうした治安要員は人口に比例して設置すればいい話ではないと思います。
人口が多ければそのぶん犯罪も増えるかもしれないけれど、
人口が少なければ少ないで治安上の不安点はあるわけで。
都会においては、犯罪やトラブルに接しない限りは警察にご縁があることはめったにない。
しかし、田舎においては警察は日常的な存在になっています。
僕も、二日に一度くらいはお巡りさんと他愛のない会話を交わします。

また、都会の影響が田舎に及ぶにつれ、犯罪の魔の手は確実に田舎にも忍び寄っている。
情報弱者であるお年寄りには悪徳商法の影が忍び寄っているのを僕も間近に感じるし、
厳しい自然地形の中、通学しなければならない子どもたちに同伴してくれる警官は
安心感を与えてくれます。


まあ、その辺の事情は警察も分かっているとは思う(思いたい)し、
それでもなお、組織を再編しなければならない苦しい事情があるのでしょう。

少子高齢化の波は確実に押し寄せている。
中央集権国家では、その波はまず、末端の田舎に押し寄せる。

都会が混沌化している今、田舎の価値を再考しない限り、日本に未来はないのではないでしょうか。


しかし、この説明会は警察組織を学ぶいい機会でした。

警察には地域に常駐する駐在所員と、広域範囲を巡回するパトカー(PC)専従員に分かれます。
西予市には現在駐在所は16ヶ所ありますが、
うち5ヶ所を今回の再編で廃止し、残り11ヶ所に統合する予定だそうです。

で、廃止した駐在所員をPC専従員に回す。

現在、西予市にはPCは二台。
一台につき二人乗車で、一日三交代勤務。
つまり一日につき12人のPC専従員が必要なのですが、現状では6人しかいません。
不足分6人を駐在所員が補勤、という形で補充しているそうですが、
この補勤者は資格上PCを運転することはできません。

多発する犯罪対応のためには、地域に常駐する駐在所員よりも、
PC専従員のほうが重要、というのが警察の見解のようです。

一番良い解決策は、単純に警官を増員すればいいだけの話ですが、
それがかなり難しいのだとか。
過去五年、警官の数は増えてなく、今後も減ることはあっても増える見込はないそうです。
広い市内に巡回PCが二台しかないのも驚きですが、
さらにその二台の巡回要員すら足りていない、というのも驚き。
少子高齢化の影響もあるでしょうが、相次ぐ警官の不祥事に、警察への信頼は薄れ、
警官になりたがる人も少なくなっているのかもしれません。


現状ではまだ廃止する、と決まったわけではありませんが、
今秋には決定し、なくなるとなれば来春から遊子川駐在所の火が消えます。
建物自体は残して防災・防犯への有効活用をするとは言ってますが、
その具体策は現状では詳細計画はないみたいです。


事は小さな地域だけの問題ではなく、国全体の問題なのかもしれません。
個の尊重と同時に、公の益・社会利益を考えなければならない時代。

秩序から混沌への流れは世の必定なのでしょうか。
地域おこし要員としては積極的に駐在所存続を嘆願するべきなんでしょうけど、
正直ちょっと混乱しています。

うーん...