地域自治会社

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[佐礼谷のお薬師さん]


地域おこし協力隊意見交換会で伊予市は中山町佐礼谷地区へ行ってきました。

伊予市に行くのもはじめて、
西予市以外の地域おこし協力隊員に会うのもはじめて。

事務局を挟んで西予市と伊予市のメンバーが向い合って座り、
自分の席には名札プレートが置いてあって、
なんかお見合いをしている感じ。

他の地域の地域おこし協力隊員がどのような活動をしているのか。
かけだしの地域おこし協力隊員としては大いに気になるところ。
こういった意見交換会を待ち望んでいました。


今回の主なテーマは2つ。
佐礼谷の地域おこし活動の発表と、田舎の婚活について。

一度結婚を失敗している身としては説得力ないかもしんないけど、
結婚は他人がやいのやいの言ってもはじまらない、というのが持論なので、
...とくに興味なし。


面白かったのは、佐礼谷の地域おこし活動、「地域自治の会社化」について。

三ヶ月田舎の自治組織をみていて、ずっと感じていた違和感があった。
人が少ないのにやたらと行事がある。
自分の仕事を終えた後、疲れた身体をひきずって、夜の会合に出る。
地域自治の大切さを分かっていても、どうしても後手後手に回らざるを得なくなる。

だったら、地域自治を専門に行う会社を地域内に作ればいいじゃないか。

楽しく幸せに暮らす、という目的のために地域自治が利益を求めてもいいじゃないか。


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佐礼谷の地域おこし協力隊の方のプレゼンは、
理路整然としていて、分かりやすかったのだけど、
理論的には理解できても、本当にそんなにうまくいくのだろうか、という疑問も。

...その疑問は夜の懇親会で解消しました。
やっぱり昼のお固い会合だけじゃ見えてこないものがあるわけで。
それはお酒が飲めない身であっても分かる。
だから酒は嫌いでも、宴は嫌いじゃない。

お昼の部の最後で、田舎で困っていることとして、
飲めない酒を飲まされること、と言ったのが項を奏したのか、
夜の部ではお酒を飲まされることもなく、久々にリラックスして宴会に参加。
隣りに座られたのが佐礼谷の自治会会長さんで、なんと会長さんもお酒を飲めないのだとか。
酒が飲めなくても自治会長として、地域をまとめることができるんだ〜、
...となーんか妙に心強い味方を得た気持ちになって、
また、お酒が飲めない物同士、意気投合して話し込んじゃいました。


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農業一筋の自治会長さんは人の面倒をみるのが好きで、
自治会のあらゆる役を経験をされてきたのだとか。
自治会の酸いも甘いも経験してきて、五年前に自治会長に就任した時から、
地域自治組織の会社化を考えておられたのだとか。

なんと、地域おこし協力隊の持ち込みではなく、
自治会長自らが会社化を考えておられたことにびっくりしました。
田舎の地域自治組織にも進歩的な考えを持たれている方がいるんだな、と。

第二次産業、第三次産業ではあたりまえの「会社」も、
第一次産業では長い間存在しなかった。
その事自体が異常で、そのツケが今、回ってきているのではないでしょうか。

田舎が田舎であること以前に、
田舎の主要産業が農業で、その農業の産業形態に競争が生じていないことが問題なのだ。

今、産業の六次化が叫ばれているのはそのような背景からなのかな。


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酒が飲めない自治会長さんも、
やはり若い頃は苦労されたようで、
50になるまでは、飲まなきゃはじまらない田舎のコミュニケーションを
甘んじて受けておられたとか。
五十歳になって、三十年間努力しても飲めないのだから、と
スパッとお酒を辞められたのだとか。

やはり僕ももう少し頑張らなければ。

良い伝統は守らなければならない。
しかし悪しき風習は打破していかなければならない。
ただ、その良し悪しの判断は人によって様々だから、その取捨選択が難しい。

ぶつかりすぎず、流されすぎず。
肩の力を抜きつつ、自分を見失わないでいこう。


お酒が飲めなくても、田舎で立派に「活き」ていけるんだ。
農業一筋の人でも、明日を見据えたものの考え方ができるんだ。

ノウハウ以上に元気と勇気をもらえた意見交換会でした。


今後もどんどん他の隊員と交流していきたい。
それが僕のような放浪者の長所なのだから。