事の発端は、公民館があまりに寒いので囲炉裏を置こうという話からはじまりました。
経費節減で公民館予算が絞りに絞られて、ろくに暖房やストーブを点けられず、
どうしたもんかと関係者で知恵を絞った上での案でした。
まあ、田舎ならではの発想ですよね。
都会であれば、囲炉裏を構えようとしたら逆に高くついちゃうわけで。
自分のくつろぎ小屋を自分で作った、というおっちゃんが
ユスモクで囲炉裏を作ってくれることになりました。
その小屋にはこれまた自作の囲炉裏があって、その囲炉裏がまたイイ感じだったのです。
そのおっちゃんは大工というわけでもなくて、
退職して都会から故郷に戻ってきて農業をしている方なんですが、
まあ元気な方で、もりあげ隊の活動でもお世話になっております。
しかし。
結局役場の上の方からのお達しで、囲炉裏を置くことすら許可してもらえませんでした。
理由はただ「危ないから」。
場所柄子どもが来ることも多い中、囲炉裏があるのは危ない、と。
そんなこと言ってたら何も置けんやろ!
...と文句たらたらなわけですが、文句を言ってるだけではなにもはじまらない、
とそのおっちゃんは地域内の農協販売店に頼み込んで、
店内のくつろぎスペースに作った囲炉裏を置かせてもらったのでした。
その農協に置かれた囲炉裏の画像をFacebookにアップしたところ、
「うちにもほしい!」という反響がありました。
こうしてユスモク囲炉裏物語は展開していくのであります。
まずは、農協においてもらった囲炉裏。
この画像を見たFacebookの友達が「うちにもほしい!」と。
こうして地域の中だけの話だったユスモクが地域の外へ。
ネットではちょくちょく情報発信していたわけですが、
ネットの中の話がリアルへと拡散していった瞬間でもあります。
ユスモクは現状ではあくまで「地域活動」です。
活動を持続させるために最終目標として経済活動も視野に入れていますが、
最も目指しているのは、活発な木工活動による「木の価値の再認識」です。
それによって地域は誇りを取り戻し、それが地域を元気にする活力になる。
ユスモクが誇るのはその技術力ではなく、地域を愛する、森を愛する気持ちである。
地域を愛する人たちが愛情込めて作ったものを、愛情込めて使ってくれるユーザーに提供する。
この当たり前でありながら忘れられてしまったシンプルなビジネスを展開したいのです。
このユスモクのポリシーを理解していただくために、
遊子川の農協に置いてある囲炉裏一号を見に来ていただきました。
まあ、ここまで一字一句言葉で伝えるのではなく、
単純に現物を見てもらうのが一番の目的ですが。
こうして現物を見てもらい、納得してもらった上で制作開始。
...って今回作ったのは僕じゃないですが。
一週間ほどで完成して、制作者のおっちゃんと一緒に納品。
注文者は宇和町でギャラリー喫茶を営んでいる方。
古い土蔵造りの雰囲気にぴったり。
使えば使うほど味が出てきそうです。
ユスモクの環境準備に関しては、いろんな人に手助けしてもらいましたが、
実際の制作活動については、実質自分一人だけでやってました。
ここにきてゆっくり徐々にではありますが、活動が地域に広がりつつある気がします。
今回の件は地域おこし協力隊としては、喜ばしい限りですが、
将来の木工作家としてはいささか焦りを感じたりもします。
まあ、先を越されているわけですから。
まあ、でも良い刺激にもなってます。
そのスピードを真似るのではなく、「楽しむ」ことを真似たい。
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