人生も半ばまで生きてくると、
人生とは科学や論理で規定されるだけの世界ではないことに気づきます。
このことに気づくか否かで、生きる世界の「広がり」に差が出てくると思うのです。
別段狭い世界でも十分幸せに生きる人もたくさんおり、
そういう生き方も悪くないのでしょうが、
気づいてしまったからには、広い世界を堪能したい。
それが僕の生き方だと思うのです。
地域おこし協力隊の多くの志望理由は、「社会貢献」だと思います。
海外青年協力隊などの経験者も少なくないと聞きます。
が、僕は正直なところ、社会貢献が第一の志望理由ではありません。
もちろん、現職にいる間は全力で社会貢献していく所存ですが、
自分が求める道を実現する過程で、そのとっかかりとして出会えた「ご縁」。
それがこの職を選んだ理由だと思っています。
念ずれば花開く。
心から望むものがはっきりすれば、自ずと望むものを手に入れる機会が現れる。
それが「縁」というものであり、その縁の兆しを見逃さないことが、
事を為すのに必要な能力ではないでしょうか。
要は「チャンスは見逃すな」という単純な論理。
僕が求める道。
それは世間に認められて大成功し、大金持ちになることではない。
大自然のそばでモノづくりをしていくこと。
そうやって作られたモノの魅力を社会に伝えていくこと。
それは社会のためではなく、自分のため。
しかし、社会のためにもなると信じています。
その信念のもとに、取り組んできたのが地域木材有効活用であり、
その拠点が「ユスモク」なのです。
ユスモクは県の補助を受けて実施しております。
その名も「愛媛県新しい公共支援事業」。
平成23年度、24年度の2ヵ年事業です。
補助を受けて行う以上、お金を出してもらっているスポンサー(県)に対して
その進捗を報告する義務があります。
その中間報告をしに松山まで行ってきました。
この事業の目的を一言で言えば、
山間部の限界集落の地域資源である森林(木材)を有効活用して、
地域を活性化させる、というものです。
事業の対象地域は、西予市東部の山間部の遊子川地区。
人口約400人、高齢化率50%の限界集落です。
都会部から採用される地域おこし協力隊の役割は、
地元にはない視点から地域を眺め、地域の魅力を発掘すること。
かねてより田舎の山奥で生活したい、という個人的な希望もあり、
着任前から山間部での木材活用による地域活性化を考えていましたが、
実際現地で暮らしてみて、あらためて森林の美しさに地域資源としての価値を感じました。
その自分の想いを地域にアピールしていて、今回の公共支援事業にめぐり会えました。
しかし、長引く林業低迷により森林は荒れはじめている。
美しい山に暮らしながら、住民は、自分たちが暮らす地域を誇れなくなっている。
森のいたるところに放置間伐材、放置竹林が目立つようになってきています。
本事業の目指すところ。
小さな地域が林業低迷という国家レベルの問題をどうにかできるわけではないけど、
自分たちの山から出る間伐材を魅力あるものにできれば、
地域に誇りを取り戻すことができるのではないだろうか。
自分が暮らす地域を誇れることから地域活性化ははじまるのだと思います。
これらの放置間伐材を魅力あるカタチにするための手段として、
「木工」製品づくりに取り組みます。
ただ、便利な道具を作るのではなく、モノに愛着を持ち、
長く使ってもらえるような魅力ある木工品づくりを目指します。
そのために自分が在京時代に美大で学んだデザインスキルを活用していきます。
前半は環境準備に時間を費やし、制作活動を開始できていないので、
美大時代に作成した作品を参考イメージとして紹介。
活動スケジュール。
申請時に提出したものとまったく同じものです。
現状は活動拠点となる木工所の整備に時間を費やし、
制作活動をようやく開始したところです。
今後は制作活動を中心に、制作した作品を地域内に展示することによる魅力ある空間づくり、
木工教室やコンテストの実施によるノウハウやアイデアの収集、
制作物を商品化して販売することによる経済活性を目指します。
活動連携図。
前半部は環境準備を行政中心で行ったため、現状ではまだあまり連携が進んでいません。
今後の課題として後半は積極的な連携を心がけます。
前半の活動について。
まずは木工先進地の視察。
高知県馬路村。
木材のブランドだけでなく、ユニークな加工法にデザインスキルを加えることにより、
魅力的な商品展開を実現している点がおおいに参考になりました。
木工所の整備。
行政が管理している使われなくなった保育所の使用許可をとり、
木工所として使用するための工事を実施しました。
また、木工機械の一部を使われなくなった学校から借用し、運びこんで設置しました。
木材の確保。
放置間伐材を山林所有者の許可を得て軽トラで木工所へ収集し、
皮を剥いで乾燥させます。
この運搬作業が思いのほか重労働で、改良の余地がありそうです。
製材作業。
ある程度太い木でないと製材効率が悪くなってしまうことが判明。
木工所全景。
制作物の検討。
いきなり原寸でつくるわけにもいかないので、
まずは模型で造形検討を行います。
地域にアピールするためのイメージ作り。
木工所のロゴを作成しました。
焼き印を作って製品に刻印していく予定です。
今回は会場後方に展示ブースが設置されていたので、
美大時代の作品と、もりあげ隊の会報とカレンダーを置かせてもらいました。
最初はなかなか木工所の使用許可が下りず、焦りましたが、
なんとか前半で環境準備を整えるところまでいくことができました。
まだまだ壁はありますが、
夢を持って、楽しみながら、しかし真摯に取り組んでいきたいと思います!
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