KINO

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オケクラフト視察を終え、ゆっくりする間もなく、
次の目的地、東京へとんぼ返り。

およそ2年ぶりの東京。
今回は北海道に続いての木工先進地視察。
厳密には「木工」の先進地ではなく、
「東京の木」を活用した新規ビジネスの見学になります。

今、東京では花粉症対策で、
従来品種のスギを花粉症になりにくい品種への植え替え作業が進んでいます。
伐採されたスギは手入れが行き届かないため小径木であり、
建材など従来の用途には向かず、その新しい使い方を模索している会社を訪問しました。

株式会社budori。
Webデザイン、グラフィックデザインを主たる業務とするデザイン会社。
budoriが取り組む東京の木の活用プロジェクト「KINO」の担当者が、
なんとタマビの同窓生。その伝手で今回の視察が実現しました。

隣でデジタルワークに従事する傍ら、東京の自然に目を向ける活動への従事。
デジタル全盛のこの時代、デジタルの最先端をいく都会においては、
なかなかできることではないと思います。

デジタルがどんなに優秀なツールであっても、それはしょせん道具であって世界ではない。
行き過ぎたデジタルへの過信は、人間が本来生きるべき場所である自然を破壊しつつある。
しかし一方でデジタルは人間の可能性を飛躍的に高めたのも事実。
今さらデジタルを捨てることは、時代の流れに逆行することであり、
けっしてスマートな行為とはいえない。

それならば。
デジタルとアナログが、良いカタチで融合するような道を探そうじゃないか。
同時に、都会と田舎のほどよい関係を探そうじゃないか。

今、まさにそういう世界が求められている...気がする。


木の魅力をアピールする「KINOへや」にて、お話を伺いました。

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部屋の中には木の魅力をアピールするグッズがいっぱい。

木の人形、ウッドロイド(...と勝手に名づけた^^;)。

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カットサンプル。

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丸太からどのように木材が得られるかが視覚的に把握できます。


スプーンや箸、カスタネットなどの手作りワークショップも盛んに行われています。

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オーソドックスなテーブル&チェア。

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南米が発祥のカホンと呼ばれる打楽器。

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後日、この視察が縁でカホンの普及活動を行っているカホンプロジェクトの人が、
世田谷ものづくり学校でカホンづくりのワークショップをする、ということで、
その様子を見学させてもらうことができました。

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このカホンのワークショップ、遊子川でもやってみようということになりました。
カホンプロジェクトの協力も得て、現在準備がトントン拍子で進んでます。


田舎と都会、場所は違えど想いは同じ、ということで盛り上がるモクモク(木木)会議。

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大学時代は、どこかのんびりしていて頼りなく、
なにを考えてるのかよく分からなかった同級生がすっかり成長して立派に話してる姿が見れ、
こういうカタチでまたつながれたことがとても嬉しかった。

メガシティ東京も23区外へ出ると、けっこう大きな森があったりするのですが、
林業従事者、製材業者が少ないため、価格競争が起こらず、
材木及び材木加工の値段がとても高い。
そこが東京の木を使ったプロダクトの最大の障害となっているようです。
裏を返せばそこに田舎における木工ビジネスのチャンスがあるのではないか。

田舎においては、良い材かどうかはともかく、
木材は比較的安価に入手できます。
あとはどれだけ加工の手間をかけずに良い商品を作れるか。
あるいはかけた手間分の価値を消費者に提示できるか。

手間をかけない、というのはけっして丁寧に作らないということではない。
同じ完成度でどれだけ無駄を省けるかであり、そのことをきちんと意識しない限り、
いつまで経っても生産者と消費者の間にある商品価値認識のギャップは埋まらない。

木工品の価値はどこにあるのか。
良い木工商品とはどういうものなのか。
まずはそこをしっかり考える必要があるのではないか。
そしてそこにデザインの入る余地があるのではないか。


最後に記念写真〜。

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今後もなにかと繋がっていけたらいいなあ。