容疑者Xの献身

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ガリレオシリーズ劇場版。

難解な完全犯罪を卓越した科学力で解き明かしていく面白さが全面に出ている
ドラマ版に対して、こちらは「愛」を全面に押し出しているような気がしました。

確かに犯人は頭の切れる人間だけれど、はたして数学者ならでは手口なのか。

まあ、それはともかくこの物語は人間の繊細な部分をもろにわしづかみにする。

東野圭吾の原作は読んでないけれど、
この物語の主役は湯川博士と内海刑事のコンビではなく、
天才数学者・石神のように思える。


「あなたは人をここまで愛せるか」


まさにこの映画にぴったりのキャッチフレーズ。


愛を知りさえしなければ、彼は人を殺したりしなかったろう。

そう考えると、愛とは厄介なものだ。

しかし愛を知ったからこそ、彼は幸せだった。

その問題を解いても、誰も幸せにならない。

しかしその問題を解かなくても、誰も幸せにはならない。

幾何問題のようで、実は関数問題。
見方を少し変えるだけで、答えは簡単に見えてくる。

矛盾にみちた世界で、
秩序だけを見つめる物理や数学だけではこの世界のすべては解明できない。


愛がなければ世界は幸せにならないのに、
一方で愛ゆえの悲劇、というものもある。


...このやるせなさが世界の矛盾を理解するために必要な感情なのだろうか。