レイクサイド マーダーケース

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久々に良い映画に出会えました。


東野圭吾原作「レイクサイド」の映像化。
「容疑者Xの献身」大ヒット御礼スペシャルで放映。


子供の受験合宿中に妻が愛人を殺してしまった。
子供の受験に支障が出ないようにと関係者一同は事件を隠蔽しようとするが...


親が子供を守るとはどういうことか。
子供のために親がしなければならないことはなんなのか。

役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明、杉田かおる、鶴見伸吾、黒田福美、
豊川悦司らなど味のある俳優陣が物語を面白くしています。


合宿に参加する三人の子供とそれぞれの両親。
役所広司扮する主人公は妻の連れ子という立場で、
一人だけ本当の「親」ではない。

それゆえ子供に対する本当の愛情を知らない。
それが妻と他の親たちから孤立させる。

主人公が不在の時に事件は起きる。
主人公が合宿所に戻るとそこには愛人の死体が。
妻は自分が殺したという。

事件が発覚することで受験が台無しになるということで
警察に通報すべきと主張する主人公をよそに
妻と二組の親たちは結託して事件を隠蔽しようとする。

その異様さに不審を感じる主人公...

結局犯人は誰なのかは最後まではっきりしません。
ただ言えるのは犯人は妻ではなく、「大人」ではないということ。
この物語においては犯人が誰かはさして重要ではないのです。


この物語はいわゆる昨今の「モンスターペアレント」「モンスターチルドレン」が
テーマになっているといえます。

競争化社会を子供の頃から押しつける受験システム。
なんのために受験するか親も子供も分からないまま、
みんながそうするから、という理由で受験戦争に参加する。
宗教がかったように受験を最重要視する。
受験のためならなんでもやる。


この物語の結末については、子を持つ親とそうでない人で
大きく感想が分かれると思う。

子を持つ親なら主人公たちがとった行動は「やむを得ない」というでしょう。
子供を守るために子供が犯した罪を隠蔽したとしても。

しかし僕は子供を持ったことがない。
だからどうしても親たちがとった行動に納得できない。

人が人を殺すとはどういうことなのか。
同じ種が同じ種を滅ぼす。
それは生物が犯してはならないタブーなのです。
それは人間とて例外ではない。

そのルールを犯したものはどんな社会でも真っ当に生きることなどできやしない。

そう思うのですが。

しかし自分も人の親になれば同じように思えるか。

それは分からない。
それが人の弱さなのか、はたまた本能なのか、あるいは愛なのか。
それも分からない。


ストーリーは東野作品にしてはいたってシンプルなのだけど、
すごく考えさせられるものでした。


しかし妻の予知能力はなくてもなくてもいい気がするんですけどね...


「容疑者Xの献身」も観に行きたいなあ。
ガリレオ面白かったし。