本屋で衝動的に買った本。
直木賞受賞作品だとか。
「愛しぬくことも愛されぬくこともできなかった日々を今日も思っている。
大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語」
愛しぬき、愛されぬくこともできる日々をおくっている人なんて世の中に
いったいどれくらいいるというのだろう。
よしんばできたとしても、人生のうちでいったい何日の間そういう日々を
過ごすことができるのだろう。
愛ははかなく、切ない。
だから愛は美しいのでしょう。
表題含む6編の短編集ですが、僕はやはり表題の
「風に舞いあがるビニールシート」が一番好きです。
国連の難民救済機関で働く一組の夫婦の物語。
世界の難民を救うべく現場を飛び回る夫。
そんな命の危険にさらされている夫の帰りをただ待つ妻。
すれ違いの末に二人が迎える結末は...
自分が救えない人間に他人が救えるだろうか。
夫エドの幼少期に「肌のふれあい」感じることができずに育った、
というくだりに思わずズキンとくるものを感じた。
「肌のふれあい」。
一番近い距離でのコミュニケーションができない人間に、
遠い距離でのコミュニケーションができるだろうか。
愛。
それは一番近い距離でのコミュニケーション。
人間が生きていく上で一番必要なもの。
舞い上がったビニールシートをつなぎとめるもの。
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