ゲド戦記Ⅲ さいはての島 【ル=グウィン】

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ゲド戦記第3巻
いまや大賢人となったゲドがかつて世界を統一した真の王の末裔
であるアレンとともに一人の邪悪な魔法使いのために狂ってきた
世界を正すべくさいはての島へ冒険に出発する...

そしてその結末は...
それは読んでのお楽しみ。

第1巻は「自我」、第2巻は「自由」がテーマだとすると、
第3巻のテーマは「生と死」。
もちろんこのテーマは僕が感じるテーマであって、
読む人それぞれにテーマがあるものと思います。
それだけこの物語は奥が深い。とても児童書とは思えんw。

この巻で印象に残ったくだりはいくつかあるのですが、
もっとも印象に残ったのは以下の部分。

「...ここにいたってわしには分かるのだ。本当に力といえるもので、持つに値するものは、たったひとつしかないことが。それは、何かを獲得する力ではなくて、受け入れる力だ。」

生死をはじめ世の中にはいろいろな「別れ」がある。
「別れ」はほんとうに悲しい。
できることなら「別れ」を経験せずずっと「出会い」だけあればいい、
と誰もが一度は思うことではないだろか。

でも。
「別れ」の悲しさがあるから、「出会い」の嬉しさがあるのではないか。
光があるから影があり、始まりがあるから終わりがある。
これが「輪廻」という考え方の基本だと僕は思う。

生について、死について考えてみたい人には必読の一冊です。

永遠の生命などない。
あったとしてもそれはけしてしあわせなことではない。
生と死は獲得するものではなく、受け入れるものなのだ。
そこにしあわせ、というものがあるのだと思う。