『変身』に引き続く東野圭吾二作目。
スゴイ。やっぱり引き込まれる。
文章自体はいたって自然で、シンプルで、分かりやすい。
それでいて奥深いところまで突き刺さってくる。
つくづくこの人は天才肌の小説家なんだなと感じます。
物語自体は幼少時代に深く傷つけられた少女と、
その少女を守るためにひたすら「負」の人生を生きる少年と
その周囲の20年にもわたる心の闇を描いたもの。
面白いのは主人公の男女の心情描写が一切ないこと。
しかし彼らが感じていることが切実なまでに読者に伝わる。
ただ刺激を求める人にはこれほどもってこいの本はないと思う。
しかし。
過去に辛い傷がある場合。確実に疼きます。
今心にネガティブな部分が少しでもあるなら、
その部分が活性化します。
そういう意味では危険な本だな、と感じました。
光があるから闇がある。
その逆もまた真なり。
(2006/03/25 Tadaoh! Bookより移動)
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