キュビスムの特徴

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[ピカソ『アヴィニョンの娘たち』](出典:Wikipedia)


中村先生の特講Ⅰの後期テストの第三問。


「キュビスムの特徴を述べよ」


ぱっと見た感じでは画家が何を描こうとしたのかよく分からない絵。


この講義を受けて、画家が描こうとしたものが少しだけ分かった気がします。


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[セザンヌ『ショケの肖像』](出典:Wikipedia)


キュビスムは創始者であるピカソ、ブラックとアポリネール、ホアン・グリスらによる
「正当的キュビスム」とその追従者であるメッツァンジェ、レジェ、ドローネらによる
「サロン・キュビスト」に大別される。
正当的キュビスムはセザンヌの多視点の導入や、
死、憂愁、愛、絶望といった主題を扱った象徴主義の影響を深く受けている。
セザンヌの作品が明快なものであったのに対し、ピカソの作品には曖昧さが際立つが、
これはキュビスムが「実在の場」を再現する絵画ではなく、
眼に見えないもの、手に触れ得ないものとしての「場の雰囲気」を「香り」のごとく
漂わせる絵画だからであり、それがセザンヌとは異なるキュビスムの魅力となっている。
またキュビスムの特徴として今ひとつ、「同時性」というものがある。
物理的な時間は、過去-現在-未来は一直線上に並んで流れていくが、
意識の中の時間は、過去は記憶を通じて現在に作用し、
未来は予想を通じて現在に作用するといったように三者が同時に存在する。
キュビスムの絵画には意識の中の時間と経験と記憶が入り込んでおり、
そのような絵を描くためには多視点の導入が最適なのである。


...テストの時よりは若干修正したかも。