四方の山を見おろして
かみなりさまを下に聞く
富士は日本一の山 青空高くそびえたち
からだに雪の着物着て
かすみのすそを遠くひく
富士は日本一の山 ♪
(日本伝統曲『富士の山』)
霊峰・富士山。
日本人なら一度は登っておきたい山。
東京の会社を退職した2006年の夏。
念願かなって登ってきたのですが。
富士はやはり日本一でした。
最高の感動と、最悪の試練を与えてくれた。
富士山が人の心を惹きつけるのはその高さよりも、美しい稜線ではないだろうか。
[山中湖からの眺望]
究極のデザインがそこにはある。
人間はただそこからエッセンスを引き出すのみ。
土曜のお昼に千歳烏山に集合。
友人二人と連れ立ってレンタカーで出発。
午後4時頃須走登山口(五合目)に到着。
身支度を整えたのち、
高地に身体を慣らすため、1時間ほど登山口の休憩所で食事&休息。
しいたけうどんを食べる。800円。山小屋の食べ物は高い。
そして午後17時45分に五合目を出発。
30分に1回程度休憩をとりながらのんびり登る。
六合目に19時ごろ到着。
日はとっぷり暮れて、ヘッドライトを取り出す。
直前の休憩場所にデジタル一眼レフカメラを置き忘れたことに気づき、とりに戻る。
まだ余裕。
腹が減ったので豚汁を注文。730円。
やはり山小屋の食べ物は高い。
登山の途中、ふと空を見上げると見事な半月。
空にはこんなにも星があったのか、と思うほどの無数の星たち。
時おり流れる流れ星。
...まさに絶景。
しばし見とれる。
夜の登山、なかなかロマンチック。
七合目に21時くらいに到着。
なれない高地での登山の疲れが出はじめる。
加えて気温の低さ。ここ一番の冷え込みだったとか。
一合上がるごとに衣類を重ね着していくものの、寒さは止まらない。
気温は一桁。
日付変わって日曜日午前0時ごろ八合目に到着。
疲労がピークに達し、高山病の症状である頭痛が出はじめる。
友人の一人はここで登山ストップ。
ここで宿泊し、明朝下山することに。
自分と残るもう一人の友人は2時間ほど仮眠してから出発することに。
仮眠明け、頭痛は治まるどころかますますひどくなり、吐き気まで。
悩んだ結果、
「悩むくらいなら登ろう」という友人のアドバイスで登ることを決意。
ここから山頂まではまさに地獄。
登山道はご来光目当ての登山者であふれ返り、
登山のスピードはまさに亀の歩み。
(仮眠前の本八合目までは登山者はまばらだった)
まあこのときの自分の状態からすれば、このペースでちょうど良かったのだけど。
歩けば猛烈な寒さが体力を奪い、止まれば猛烈に襲ってくる頭痛と悪寒と吐き気。
歩くも地獄、止まるも地獄。
途中何度あきらめて引き返そうと思ったことか。
それを思いとどまらせたのは、
「ここで引き返したら負け犬だ」という強い想いと、
ふらつく身体を支えたくれた友人の助けと、
満天を埋め尽くす無数の美しい星たち。
頂上に着く頃、吐き気と寒気がピークに。
頂上に着くなり、これまで食べたものを全部吐く。
日本一の霊峰になんたることを。
(ゴメンナサイ;; でもちゃんと掃除はしておきました)
しばらくして見事なご来光が現る。
動くのもつらい状況だったけど、なんとか撮影。
山中湖?
しばらくすると高山病の症状が和らぐ。
下山する体力があるうちに、ということで
頂上の火口周辺を歩いてみる、という友人を残して急ぎ下山することに。
この下りが上りほどではないにしろ、また地獄。
上りと下りでルートが別になってます。
登りはこれから上がってくる人でいっぱい。
下りは不毛の大地が広がる。
下りは土砂、砂利道がほとんどで、足を踏ん張ろうとすると滑る。
4時間かけて登山口まで戻ってきたときは腿がパンパン。
あとから下山しはじめた友人は途中すごい勢いで自分を追い抜き、
あっという間に五合目まで降りていったのだけど、
遅い自分の到着を心配してまた迎えに上がってくる、というタフさ。
さすがもと陸上部。
その後。
温泉で疲れを癒し、山梨名物ほうとうを食べ、
疲れる身体に鞭打って渋滞のなかを運転して19時ごろ無事帰宅。
今は正直山はもう見るのも嫌。
でも。
寒かったけれど総じて恵まれた好天候。
辛かったけれど頂上まで登りきった達成感。
共通の体験を通して仲良くなれた友人。
総括してみると、富士登山は最高の感動をくれた。
だから来年もまた山には登るだろう。
この登山で何より自分を助けてくれたのは一本の杖。
登山口で1本千円で買ったものなのだけど、
最初は若いのに杖なんて...と思ってたけど買って大正解。
この杖がなかったら今回のこの苦行は成し得なかった。
各合にある山小屋が営業していれば、焼印を押してくれます。
(200円、ただし頂上は300円)
今回は五合目(買ったときにすでに押してある)、六合目、本八合目、
そして頂上の焼印を押してもらいました。
最高のお守りです。
大切にとっておこうと思います。
あの時のツラサとその後達成したことを忘れないために。
そして次回の登山の時のために。
【Information】