カナダ大使館庭園【枡野俊明|東京都港区】

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カナダ大使館へ行ってきました。

...といってもカナダに用があったわけじゃない。
ナイアガラの滝やロッキーマウンテン、アラスカのオーロラなど行ってみたいと思うけど、
今の僕にはそんな余裕はない。


八王子で受講している授業、造園学の枡野俊明先生が手がけたガーデンが目当て。
セルリアンタワーに引き続き散策してきました。


銀座線青山一丁目より徒歩10分程度。
大使館が開いている間(平日9:00~17:30)であれば、
4階にあるガーデンへは自由に出入りできます。

ただ青山通りをはさんで目の前が赤坂御所で、
警備の都合上写真撮影は原則禁止。
ガーデンで写真を撮っていたら警備員にそう注意されたのですが、
撮った写真を没収するわけでもなく、そんなに厳格でもないみたい。


枯山水こそは、日本の心だと思っている節があった。
今でもそのイメージが消えたわけではないけれど、
その一方でどこか疑問というか、違和感を感じる部分が今はある。

その違和感はなんなのだろう...


外観。

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建物自体が結構面白い形をしています。
台形チックというか、ピラミッドチックというか。


エントランスにある、巨大なホーン(角)。
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1階入ってすぐのロビーの天井にも同じようなオブジェがあります。
カナダのシンボルなんですかね。


地下1階から1階への吹き抜けにある枯山水。

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アンモナイトのような渦巻きに配置された石群。
日本的でありながらどこかモダンでもある。


側壁にあるエスカレータで一気に4階のガーデンへ。

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大きめのキャンティの屋根と枯山水が厳格さを醸し出しています。
一方でその周囲を緑の自然の柔らかさが包み込み、
絶妙のバランス、調和がとれている気がします。
砂漠の中のオアシスを反転したような感じ。

枯山水といえど、緑がまったくなくて良いわけじゃないんだな、と感じました。

周囲の砂漠があるからオアシスの緑がみずみずしく見える。
周囲の緑があるから枯山水が放つ厳格さが見える。


大使館の横の高橋是清翁記念公園。

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高橋是清の自邸跡地につくられた公園だそうです。
大使館のガーデンほどの立派さではないけれど、
ここの緑と石の取り合いも良い感じだなって思いました。

是清の自邸は現在は江戸東京たてもの園に移築されています。

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草木で家があんまり見えないけど...


緑を廃する、というイメージが枯山水に対して持った最近の違和感なのだろうけれど、
枯山水はけして緑を廃するものではないのだな、ということを
今回このガーデンを訪れて感じました。
そして枯山水に対して持っていた誤解が解けたような気もしました。


イメージしようとするものは意外と近くにある。
そして意外なほど僕等はそのことに気付かない。

イメージさせるための形、空間。
三次元となった形をまた二次元へと回帰させる。


枯山水は最高の清貧であり、最高の贅沢でもある。


枡野俊明『日本庭園の心得』

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造園学の授業で用いた教科書。
(ただし、カナダ大使館は掲載されてません)


【Information】