茂木健一郎

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ほぼ一冊まるごと茂木さんを特集したBRUTUS609号を買いました。
真っ黄色の表紙がまた共感を呼ぶ。
(黄色は好きな色の一つなので)

デザイナーではなく、脳科学者ですが、
これからデザインを学び、実践していく上で僕の中ではずせない人です。

しかしいかんせん天才の考えることは難しい。
茂木さんのブログは毎回チェックしているのですが、
どうも理解できずに興味を持って読むことができない。

しかし一方でNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」では、
時折はっとさせられるようなインスピレーションを与えてくれる発言をする。
著書「プロセス・アイ」も面白かった。


とっつきたいけど、なかなか簡単には近づかせてくれない人。

それが現在の茂木さんの僕の中の位置づけなのかな。

BRUTUSはまだ全部熟読したわけではないのですが。

インスピレーション・モチベーションを与えてくれたいくつかのキーワード。

「クオリア」
一番最初に茂木さんの存在を知ったと同時に耳に入ったキーワード。
いまだに明確にその定義を説明することが難しい言葉です。
Wikipediaでは、

  「イチゴのあの赤い感じ」、「空のあの青々とした感じ」、
  「二日酔いで頭がズキズキ痛むあの感じ」、
  「面白い映画を見ている時のワクワクするあの感じ」といった、
  世界に対するあらゆる意識的な感覚そのものである

...と説明されてますが、僕なりの解釈で一言で言いあらわすなら、

  「情感」

ではないかと思っています。
そしてこの「情感」がコミュニケーションをしていく上で最も重要な部分で、
口頭での会話をはじめ、文章、デザインにおいてその根幹に必要な要素だと
思うわけです。


「セレンディピティ」
一言で言うなら「幸運に出会う能力」です。
僕はくじ運がめっぽう弱い。懸賞などほとんど当選したことがない。
一方で大きな災害や犯罪、トラブルに巻き込まれることもほとんどない。
言い換えればセレンディピティの強い人間ともいえる。

これまでネガティブだった自分の思考パターンをポジティブに変えることに
できた考え方の一つです。


「ホープフルモンスター」
このBRUTUSではじめて知った言葉ですが、意味は、
「進化生物学上の概念で、いつか主流になることを夢見ている奇妙な生命体」
だそうです。

人は一生そのエゴから離れることはできなくて、
それは時折いいようのない寂寥感をもたらします。
だから人は他人に自分との共通点を見出そうとする。

その一方で自分の存在価値を強く見出そうともする。
それは自分のオリジナリティを見出そうとすることであり、
「人とは違う部分」を見出そうとすること。
先の共通項を見出そうとする欲求とは相反するものですが、
僕の中にはこの2つの強い欲求が存在します。
一見矛盾するようですが、もともと人は矛盾の中に生きる生物。
別段珍しいことでもないのか知れません。

本誌中に掲載されていたある茂木語録。

私は、飲み会の席などで黙って中空を見つめているときがあるが、そのような時、「眠いのか」とか、「疲れているのか」などと言われる。ところが本人はこれ以上ないくらい覚醒している。コップの中のお酒の色や、周囲の音や自分の座っている椅子の感触や、そのようなものが、余計な意味づけなしにダイレクトに心の中で把握されている状態。クオリアが最も鮮明に感じられている時間の流れ。それを楽しんでいるのだ。

僕の中でもよくある光景でした。
ただこれまで僕は茂木さんのように楽しむことができていなかった。
自分が話し下手だから誰も話してくれないし自分も話せないのだ、と
悲観的になっていた。

でも違うんだ。
僕もホープフルモンスターなんだ。クオリアを感じていたんだ。
(ポジティブシンキング^^;)


「ギャップ・イヤー」
脳の創造性に必要なものは「空白」なんだそうです。
脳にはその空白を埋めようとする作用があるとか。
ギャップ・イヤーとはもともとイギリスにある制度で大学から就職する時、
一時的に無所属になることだそうです。

日本では「空白」に対する意識が弱く、
逆にどこかに強く「所属」していることを重要視する傾向が強い。
それゆえ自分が見えなくなる。
自分の所属している組織が自分の個性だと勘違いする。

この言葉も本誌で知ったわけですが、今まさに僕の状態も「ギャップイヤー」。
正確には「ギャップエイトマンス(8ヶ月)」ですけど。^^;
どこにも属さず、なにもしない。
最初はこのことにすごく罪悪感をもっていたけどやはり必要なことだったんだ。
...今なら胸を張ってそれが言える。

空白であることに劣等感をもつことはない。
それは来るべく充実に備えるための準備なのだから。


...とまあいろいろインスパイアされたわけです。
今後も茂木さんの動向に目がはずせません。