【ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「悔い改めるマグダラのマリア」】(出典:Wikipedia)
好きな絵画。
ラ・トゥールの『悔い改めるマグダラのマリア』。
よく見れば奇妙な絵です。
机の上に置かれた頭蓋骨に左手を添え、
右手で頬杖をついて鏡に映る頭蓋骨を眺めるマリア。
悔い改める姿としてはいささか適当とは思えない構図。
それでもどこか見る人の心を惹きつける...
ラ・トゥールはこの絵でなにを描きたかったんですかね...
ラ・トゥールが活躍したのは17世紀前半のフランス。
当時のヨーロッパはバロック芸術全盛期だったものの、
フランスではニコラ・プッサンに代表される古典主義が台頭しており、
ラ・トゥールもその系譜の一人と言えます。
一方で、ダイナミックな明暗対比はイタリアン・バロックの巨匠・カラヴァッジョの影響も垣間見え、
伝統と革新の双方からのアプローチができた画家だった。
栄華を極めたバロックもやがては衰退し、フランスではその後ロココ美術に傾倒していったこともあり、
ラ・トゥールの名は18世紀には忘れられてゆき、その後20世紀の初頭になって再発見され、
再評価されるようになったものの、今なお謎多き「夜の画家」。
レパートリーが狭く、同じテーマ・構図の作品が複数パターン存在するのが特色で、
「悔い改めるマグダラのマリア」もいくつかバージョンが存在します。
【ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「悔い改めるマグダラのマリア」】(出典:Wikipedia)
【ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「悔い改めるマグダラのマリア」】(出典:Wikipedia)
これらの絵も好き。
[聖誕](出典:Wikipedia)
[聖セバスティアヌスの死を嘆く聖イレーヌ(1649)]
[ヨブ(1645)]
...とくに信心深いわけではないけれど。
昔から宗教建築、宗教美術は好きだった気がする。
そこには救いがあるからか。
心の浄化作用があるからか。
闇があるから光がある。
闇の暗さを分かって光の明るさが分かる。
だからラ・トゥールはこんな絵も描いたのでしょう。
[いかさま師](出典:Wikipedia)
闇に染まらず、光の中にいることを忘れず。
これすなわちより良く生きる道なり。