フローベールとエミール・ゾラ

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[ギュスターヴ・フローベール(画像はWikipediaより)]


特講Ⅰの前期テスト勉強。

二人のフランスの詩人、ボードレールとロートレアモン伯爵に続いて、
二人のフランス人作家、フローベールとエミール・ゾラ。


フローベールが1821年生まれ、エミール・ゾラは1840年生まれで
年齢的にはフローベールが約20年先輩。


ギュスターヴ・フローベール。
写実主義を確立した作家とされていますが、若き日にはロマン主義の影響を受け、
空想過剰な小説を書いていました。
1857年、『ボヴァリー夫人』で一転して客観的、写実的な描写で
一気にその才能を開花させ、写実主義の傑作となった。
そして1869年に『感情教育』を執筆。
授業ではこの『感情教育』を取り扱いました。

『感情教育』についてはすでに別記事でレビューしているので割愛します。

写実主義では客観性を重視し、極力主観を出さないのが特徴的。
『感情教育』では「視点技法」と呼ばれる
主人公フレデリック・モローをはじめとした多くの登場人物の視点から
物語が語られることで客観的表現がされています。


そしてこの写実主義はやがてエミール・ゾラに代表される自然主義文学へ
影響を与え、展開していきます。

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[エミール・ゾラ(画像はWikipediaより)


続いてエミール・ゾラ。

自然主義を代表する作家。

1867年の『テレーズ・ラカン』の発表で写実主義を発展させ、
実験科学の方法を文学に取り入れることにより、
社会のあらゆる分野における人間の姿を探求する自然主義を唱え、
そして『ルーゴン=マカール叢書』という全20巻から成る大作を生みだしていく。

その文学理論自体には少々無理があるものだったらしいですが、
作品自体は具体的で鋭い観察に富み、力強い緊密な文体で
個人、群衆、社会の動きを活写している。
当初はまったく売れなかったが、
ルーゴン=マカール叢書の第7巻『居酒屋』で社会現象となるほどの成功を収める。

授業ではとくに代表作を取り上げる、というのではなく、
ゾラの半生を描いたDVDを鑑賞することで、
主にドレフュス事件について学びました。


ロマン主義の限りなく熱い主観主義から、一転して冷静な客観主義の写実主義へ。
そしてその視点をさらに社会、時代といったスケールに拡大したものが
自然主義、ということでしょうか。