基本的に無宗教です。
...今は。
生まれ育った家は典型的な浄土真宗で、生活の節々にその影響はあったけれど、
自分の中の核に響くことはなかったように思います。
上京してからはなおさら宗教のことなど意識することもなくなった。
時を経て、社会人学生として美大でデザインを学び、建築に興味をもつようになってから、
宗教について、だんだんと興味をもつようになった。
仏教やキリスト教などの歴史的宗教建築を見るのが好きになった。
今回の上京時、滞在したホテルの隣に立派な教会がありました。
高輪にこんなユニークな教会があったなんて。
20年近く過ごしていても、見えなかったものがまだまだたくさんある。
だからまだまだ「魅力」を探し続けなければ。
魅力を知らずして、魅力を作り出すことはできないのだから。
船越 徹+ARCOMの設計で1989年に竣工。
高輪にはこの教会のほかに、
ライトに学んだ岡見健彦氏の設計で1932年に建てられた「日本基督教団高輪教会」もあります。
通常「教会」といえば、木造か石造、もしくはコンクリート造なのだけど。
ここは、スティール造なのです。
ちょっとめずらしくないですか?
「信心」という温かい心を表現する空間として、
金属という素材がはたして適しているのか、という疑問が浮かんだけれど、
実際その空間に足を踏み入れてみると、なぜか「温かさ」を感じる。
開口部を大きくとることで光を多く取り入れ、
その光は金属部分に反射されてより多くの光を増幅する。
驚くほど室内が明るいことが「温かさ」を感じさせる一因なのかもしれない。
正面口ではキリストが出迎えてくれる。
が、ドアは閉ざされていた。
急がば回れ。
典型的な切妻屋根の教会の隣にアーチ状の鉄骨の通路が繋がる。
通路の前に広がる中庭。
中庭側の入口より教会の中へ入る。
アーチ状の鉄骨が、固い材質でありながら「柔らかい」印象を与える。
正面祭壇部。
銀色の円環がエンジェル・リングを彷彿とさせる。
後部正面入口上部はガラス窓で光を多く取り入れる。
天井からも光を多く取り入れる。
樹木状の柱。
サイドウインドウ。
その下には独特の画風で聖書の各シーンが描かれる。
ヨセフはイエスの遺体を受け取ると、きれいな亜麻布に包み、岩に掘った自分の新しい墓に納めた。
(マタイ27,59)
中ではマリアが出迎える。
中庭では蝶が舞う。
都会にもこんな風景がある。
人には「信心」が必要だ。
だから僕はいつかどこかの宗教に帰依する。
でも、それは終生の地を見つけてからになると思う。
それまでは終生の地を探しながら、
「信心」と「猜疑心」とを戦わせながら、「信じる力」を育んでいこうと思う。
今回の滞在の最後にこのような素敵な教会に巡り合えたのも何かの縁なのかな。
さて、遊子川に帰ろう。
もちろん、遊子川を終生の地とするつもりで今の仕事を頑張るつもりです。
【information】
アクセス:JR・京急品川駅より徒歩10分
※注意!:本来は神に祈りを捧げる神聖な場所です。
宗教に対する真摯な気持ちを持ち、節度ある行動を心がけましょう。