夫婦二人でつくった日本の九龍城・沢田マンション【高知県高知市】

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遅い夏休みをようやくとることができました。


まず最初に訪れたのが高知市内にある沢田マンション、通称「沢マン」。
美大を卒業するときに四国に行くなら、と同級生がススメてくれました。

およそ40年以上も前1971年、建築に素人な沢田嘉農・裕江夫婦が、
「独力独学で建てた鉄筋コンクリート造の集合住宅」。
増築に増築を重ねたその建物は常に「成長する建築」。

「沢田マンション物語」も事前に読んでおこうと図書館から借りたのですが、
結局挫折してしまいました。
大学ではあんなに本を読んだのに、愛媛に来てからはさっぱり読書に身が入りません。
まあ、今は読書モードがオフなんだな。

それはともかく、沢マンは思ったとおりのカオスでした。
どちらかというと思考の根底に「秩序」を置く自分としては、
カオスは混乱をもたらすものとして、あまり良い感情を持っていませんが、
ここはそんな思い込みを吹き飛ばす心地良さがありました。

見た目の造形は全く異なるけれど、ガウディに通ずるものがあるような気がします。
ガウディ没後今なお作られ続けるサグラダ・ファミリアのように、
沢田嘉農氏がいなくなってもなお、屋上のクレーンは据えつけられたままで、
建物内も常にどこかしら工事が続けられている。

良い建築は作者がいなくなってもなお、その魂は残り続ける。
ただ存続するだけでなく、まるで生きものがごとく成長し続ける。
建築が目指すべき究極の姿がここにあるような気がします。


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建物全景。

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名物のゴンドラ。

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そのそばに掲げている看板。

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なぜ「合気道」?
合気道経験者としては気になるところですが、管理人さんに聞きそびれてしまった...


ゴンドラの下には地下の多目的ホールへの階段が。

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ゆるやかにカーブを描いており、なかなか良いセンス。


ゴンドラのそばにあるギャラリー。

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地下駐車場へのスロープ。

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壁にはオシャレな壁画。


建物左側に展開するスロープ。

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同じ階であっても段差がバラバラであちこちにスロープが展開してます。

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ベランダには壁面緑化。

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裏側も広く、車が出入りできちゃいます。

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通路。

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雑貨屋さん。

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まさに迷宮で最初はけっこう迷いましたが、
建物左側のスロープではなく、右側の階段で屋上まで上がれることに気づけば、
そんなに混乱することもなくなりました。
防犯上にもいいだろうし、なによりワクワク感があって楽しい。


屋上に上がると、さらにカオス感は加速する。

畑があり、

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ニワトリもいて、都会の一角であることを忘れてしまうのどかさ。


池があり、

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嘉農氏の孫のために作ったのだとか。


立派な製材所があり、

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家があり、

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螺旋階段があって、

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なんと、でっかいクレーンまであります。

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はたして今も動くのかどうか分からないけど、この存在感はスゴイ。
通常ならば工事中にしか設置しないものを恒久的に置いてるのは、
永遠につくり続けることへのこだわりだろうか。


今回宿泊した部屋。
ウィークリーマンションとしてお手頃な価格で宿泊することができます。

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なかなかオシャレです。

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部屋においてあった本二冊。

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エアコンの効きが悪く、昼間はムシムシしてましたが、
夜は気温が下がって意外と涼しく、過ごしやすい。
ただ、虫が多いので、防虫対策は万全に。

近くにはコンビニや食べもの屋などのお店も多く、また温泉もあります。
高知駅も近い。
アクセスはとても良い。

そしてなにより思った以上に魅力の詰まった空間でした。

うん、高知に来るときの常宿にしよう。


訪問日:2012年8月30日PM


【Information】