「ブレイキング・グラウンド」を読んで
日本にもリベスキンドの作品があることを知りました。
が、富山県魚津市にあることまでは書いてあるのですが詳細情報がない。
「ブレイキング・グラウンド」では「展望の丘」という名称しかなかったので、
そのキーワードでググってもめぼしい情報は得られなかった。
そこでmixiのリベスキンドコミュで質問したら、さっそく回答がもらえました。
どうやら魚津の桃山運動公園の中にあるらしい。
「展望の丘」という名称はその桃山運動公園のなかのブロック名のようです。
作品名は「アウトサイドライン」。
このオブジェクトは富山県の『まちのかお事業』により
コミッショナーに建築家の礒崎新氏を迎え平成4年から開催されました。
この事業は、市町村が事業主体となり、
海外建築家が基本設計、地元の建築家が実施設計を担当することで、
地域の1つのアイデンティティを建築やモニュメントといった形に表そうとしたもので、
アウトサイドラインはダニエル・リベスキンドと建築科学研究所のタッグで、
1997年に完成しました。
情報も得られた、ということで訪れてみることにしました。
魚津までは金沢駅から北陸本線で富山乗り換えでおよそ2時間。
魚津駅からはタクシーで10分。
魚津市街から山のほうへ上っていきます。
バスなどの公共交通機関はないようです。
ここのところのガソリン高騰でタクシー料金が値上げしてて、
片道10分といえど痛い出費でした。
展望の丘は公園内の一番奥の高い場所にありました。
魚津市街が一望できるまさに「展望」するための場所。
アウトサイドラインは物理的には
鉄骨と金属パネルで構成されたオブジェである「レッドライン」、
ジェームス・ジョイスの詩が刻まれた通路の「ランゲージライン」、
これに展望台の「オブザバトリー」の3つのパートで構成され、
これにコンパスライン、ミラージュラインという概念的で目に見えない2つのラインが加わり
全部で5つのラインで構成されるもの。
順路に従い下から上へと上っていきます。
スタート地点。
アウトサイドラインを説明する石碑があります。
付近には「熊注意」の張り紙が。
...けっこう物騒なところだなあ。結局熊は出なかったけど。
見えてくる龍の尻尾。
下から見て右側を眺めたレッドライン。
真下からの眺め。
同様に下から見て左側を眺めたレッドライン。
横から見るとジグザグしているレッドラインも上から見ると...
[Google Mapsより]
ご覧の通り真っ直ぐ。
オブザバトリー(展望台)。
後方(?)からの眺め。
展望台テラス。
コンパスライン、ミラージュラインと覚しきラインがあります。
詳細はよく分からないけど。
前方(?)からの眺め。
...まるで船のよう。
横からの眺め。
展望台からの眺め。
魚津の街が一望できます。
中央にはさらに高く上へと上る階段があります。
その壁にあるプレート。
一番高い部分から真上への眺望。
壁には十字の窓が海側に3つ、山側に2つあります。
正面は縦に細長いスリットになっていて、狭いながら景色が見えます。
まるで牢獄にいる気分。
通路であるランゲージライン。
字面にアルファベットが刻まれています。
ジェームス・ジョイスの詩とのことですが、英語ではないです。
だから内容がさっぱり分からない。
平日昼間、ということもあってか、僕が鑑賞している間、人っ子一人来ませんでした。
いくら田舎町の外れにあるとはいえ、現在のこの場所の扱いは
けして注目されるものではないんだなと思いました。
でも「瞑想の場所」としてはこの状況が理想的なのかな。
静かに鑑賞することができて大満足でした。
ますますリベスキンドにはまりそうです。
【Information】