「美の巨人」で紹介されてから訪れてみたいと思っていた、
前川國男自邸のある、江戸東京たてもの園へ行ってきました。
東小金井の駅からバスで10分ほど。
ここでは一番のお目当ての前川國男自邸をレポートします。
江戸東京たてもの園全体については別途レポートします。
まずは外観から。
切妻屋根のいたってシンプルな木造平屋住宅。
一番のお目当てだったのでこの建物を最初に見学したのですが、
その第一印象は正直「古くさいな~」と思ったのですが、
園内の建物群全部を見終えてみると、
やはり一番モダンで、一番くつろげる空間だったように思います。
これだけの空間を戦時体制下の物資制限の厳しい中で実現した
前川國男の非凡さが伺えます。
南側ファサード。
庭は芝植えでどちらかといえば洋風。
東側。
南北面に大きな開口をとる代わりに、
東西面にはほとんど窓がありません。
北側に回り込む。
こちらに正面玄関があります。
玄関露地からだと遮るものなく建物全体が見えるのだけど、
それ以外の場所からだと庭の樹木で遮られてプライバシーを守る。
L字に折れ曲がった露地といい、よく考えられています。
こちら側の庭園は和風。
いよいよ中へ。
まずはプラン。
広いリビングを中心に、書斎、女中部屋、トイレ、キッチン、バス、寝室が
配されています。
玄関からの眺め。
玄関そのものを撮り忘れるくらい、玄関は小さく控えめでした。
向かって右側に女中部屋、トイレ、正面に書斎、左側がリビング。
トイレ。
トイレはリビングの奥にあるバスにもあります。
書斎。
レトロな電話やテレビが時代を感じさせるけど、
部屋そのものは今でもありそうなモダンな雰囲気。
居間へ。
一風変わった大きめのドア。回転式です。
そして壁一面開口の南側。
明るいです。モダンです。
ソファ。
昔懐かし黒電話。
キッチンの近くのダイニング。
配膳窓は現在のカウンターキッチンへの布石だったのかな。
チェア。
座り心地抜群です。
円卓テーブル。
ちょっとライトっぽいです。
北側窓。
北側は上がロフトになっているので天井高は少し低くなります。
南北で高低差をつけてアクセントを出し、平凡さ、退屈さを打ち消す。
そのロフト部分。
保全のためロフトには上がれず。
床底部に収納を設けて空間を効率良く活用。
東側壁。
キッチン、バス、寝室へと抜けます。
キッチン。
白基調のシンプルで清潔な空間。
浴室。
この時代にしては珍しいバストイレ共用空間。
黒の便座のフタがまたモダンです。
ベッドルーム。
収納。
こうしてみると、材料の古さはあれど、
空間そのものは現在の住宅とほとんど変わらない。
変わらないどころか、アドバンテージすらある。
良いものは時代を超えて残っていくもの、ということをあらためて感じました。
こういう空間を創っていきたいですよね。
【information】オフィシャルサイト
アクセス:JR中央線「武蔵小金井」駅北口よりバス5分
JR中央線「東小金井」駅よりバス6分
開園時間:4月~9月:午前9時30分~午後5時30分、10月~3月:午前9時30分~午後4時30分
※入園は閉園時刻の30分前まで
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日)、年末年始
入園料:大人400円、65歳以上200円、大学生320円、高校生・都外の中学生200円
都内の中学生・小学生以下は無料