【HP面(Hyperbolic Paraboloid: 双曲放物線面)】
【EP面(Elliptic Paraboloid: 楕円放物線面)】
モノの形をデザインしていく過程において、
伝統工芸などをのぞけばその多くは「量産性」を前提に考えねばならない。
直線はもちろん、曲線も幾何学的に計算で求められるものがのぞましい。
計算で求められるものは複製や改良が容易となるからです。
アートでは自由曲線ですむものが、
デザインでは曲線は幾何学的要素が求められる。
そこがデザインにおける造形の難しさであり、面白さでもある。
...と思うのです。
今回、課題に取り組むにあたり造形を参考書で検討していて、
自分が惹かれる造形要素にふと目が止まりました。
それがHP面とEP面。
HP面は直線曲面、EP面は曲線曲面。
HP面は線が回転、EP面は面が回転。
HP面は垂直断面が放物線に、水平断面が双曲線になる。
EP面は垂直断面が放物線に、水平断面が楕円になる。
HP面やEP面はHPシェル、EPシェルとして、
薄く強く美しい構造物を構成できる。
HPシェルの場合、上に開く放物線方向には引張り力が、
下に開く放物線方向には圧縮力がかかる。
HPシェルには上図の「鞍形」のほかに「網形」とよばれるものもあります。
[網形HPシェル]
grapherでの描き方が分からなかったので、困ったときのWikipediaより。
網形HPシェルの建築。
【駒沢公園体育館】
4枚のHPシェルを組み合わせています。
【東京カテドラル(丹下健三)】
こちらは8枚のHPシェル。
【戦没学徒記念館(丹下健三)】
HP曲面を取り入れたタワー。
こちらは屋根ではなく、壁にHPシェルを使っていて面白い。
鞍型HPシェルの建築。
【バレンシア芸術科学都市(フェリックス・キャンデラ)】
(出典:Wikipedia)
フェリックス・キャンデラはHPシェルの大家として、
美しい有機的建築を数多く手がけました。
【広島平和記念公園・原爆慰霊碑(丹下健三)】
丹下さんは網型・鞍型両方のHPシェルを手がけてたんですね〜
EPシェルの建築。
【サグラダファミリア(アントニ・ガウディ)】
(出典:Wikipedia)
紐を垂らして形成されるカテナリー曲線を逆さにした鐘楼群。
コンピュータもない時代に重力という自然を上手く活用しています。
自然は美しい。
【TWAターミナルビル(エーロ・サーリネン)】
(出典:Wikipedia)
HPシェルかと思ったら、EPシェルだったんですね。
これも大好きな造形の一つです。
今回参照した本たち。
(画像をクリックするとAmazonの購入ページが開きます)
二次元、三次元のいろんな図形の建築応用例が解説されています。
その壱よりさらに詳しく解説されてます。
今回はとくにP136-139「砂漠の貝殻」の項目を参考にしました。
貝殻のように頑丈で美しい。
それがこれらの造形が「シェル(貝殻)」と呼ばれる所以なんですね。