現代のノアの方舟・都立第五福竜丸展示館【杉重彦|東京都江東区】

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夢の島公園内にある第五福竜丸展示館に行ってきました。
入場無料。

忘れてはならない記憶、というものがある。
モニュメントは人類が永遠に記憶にとどめておくべきイメージである。

1954年3月1日、ビキニ環礁を航行していた漁船・第五福竜丸は
アメリカの水爆実験に巻き込まれて被爆した。
広島・長崎に投下された原子爆弾に次ぐ、日本における第三の原子力災害となった。

なにごとも、踏み込んではならない領域というものがある。
科学の力ですべてを制御できるなど、人間の驕り以外のなにものでもない。

本展示館はこのことを心に刻むための施設として1976年に開館しました。


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僕が第五福竜丸に興味を持ったのは、
正直なところ原水爆実験被爆という事実ではなく、
船を保管している建物のモニュメンタリズムだった。


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横から見るとまさに船。
それもただの船ではなく、ノアの方舟のごとき人類を救う偉大な舟。

第五福竜丸を忘れないことが人類を救う道だ、という
メッセージを伝えるのにこれほど最適な造形があろうか。


直線の鉄骨を少しずつずらして生成される微妙なカーブが、
なんともいえぬ雰囲気を醸し出している。

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一方、正面からの眺めは「家」。

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舟でどんなに遠くへ旅に出ても、
最後には戻るべき家が僕らには必要だ、ということなのだろうか。


さて、中へ。


船首部分。
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左舷部分。
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右舷部分。
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右舷側に階段があって、デッキを眺めることができます。
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デッキにはなぜかウミガメが。
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船尾部分。
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舵部分。
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天井。
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船体についたシミ。
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被爆した人たちの亡霊のようにも見える。


船体の骨格模型。
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曲げ木が使われてるのかな...


この骨格に表皮がかぶさると、こうなる。
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錨の形のベンチ、チェア。
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ペアが寄り添って座るラブ・ベンチ、ラブ・チェアでもあるのかな。


平日昼間、ということで空いてるかなあと思ったのだけど、
小中学生の課外授業なのか、たくさん子供がいた。


今後もずっと残っていて欲しい。
人類の方舟として。


【information】オフィシャルサイト

アクセス:東京メトロ有楽町線、JR京葉線、りんかい線、『新木場駅』下車、徒歩13分

開館時間:9:30〜16:00 (月曜休館、月曜が祝日の場合は翌火曜休館)

入場料無料