ただ、君を愛してる

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ただ、君を愛してる」を観てきました。
原作「恋愛寫眞 もうひとつの物語(市川拓司)」にすごく感激して、
すごく楽しみにしていた映画なのだけど...


最後のほうはもう激冷め。

...僕は思い込みが激しくて、ひねくれもので欲張りなのか。
それとも自分の中の感情センサーが鈍くなってきてるのか。

とにかくこれからはもう原作先読みはやめよう、そう思った。

原作者の市川さんはこの映画をみて、
「後半は嗚咽をこらえるのに必死だった」と言ってますが、
僕にはどうしてもそれが本意に思えない。

映画は概ね原作に忠実なのですが、
細かいところで設定を変えていて、そこが物語のリズムを狂わしていたような気がする。

例によって思い入れが激しい作品だけにネタばれ的なところがあるので
これから映画を観ようと思っていて、あんまりあらすじを事前に知りたくない、
という方は以降は読まないことをお奨めします。

観終わった後、どう感じたか、あらためてコメントなどいただけると嬉しいです。

これから観る、という方はトレーラーだけ。


市川拓司の多くの作品は現実にはありえない、という設定のものが多い。
でもその設定はけしてSF的な突飛なものではなく、
現実にあってもおかしくない、違和感のない、繊細な仮定のもの。
繊細さ。
そこが市川作品の魅力だと思ってます。

この物語もその例に漏れず「恋をすると死んでしまう」という
現実にはありえない設定なのだけど、
カゲロウのような、そういう人間が世界のどこかにはいるのかもしれない、
と思わせるような繊細さが物語を魅力的にしている。

「恋をすると死んでしまう」という仮定ならではの恋愛の繊細な表現を
演技で表現することが難しかったのだろうか...
映画業界の人間ではないのでその辺はよく分からないので、
やみくもに映画の創り方そのものを批判する気はないけれど。

原作に忠実に作りさえすればいい、というものでもないとも思う。
実際、セカチューはドラマ映画原作とは大きく設定が異なるけれど、どれもいい作品だと思った。


森の緑、海の青など映像はとてもキレイだった。
玉木宏の誠人も宮崎あおいの静流も概ねイメージどおりだった。
それだけに肝心要のストーリーで満足できなかったのが残念。


以下愚痴になってしまうけど冷めてしまった6つのポイント。


  1.音のひどさ

   渋谷TOEIで観たのだけどやたら音量がでかく、ところどころ割れてた。
   音も映画では大事な要素なんだから、注意して欲しいところ。
   そして心なしか玉木宏の声が少し高め、というか変に聞こえた。


  2.最初の「泣き」ポイントのカット

   誠人の友達が静流を変人扱いして、誠人がそれをフォローせず、
   それを悲しく思った静流が泣く、というシーンが原作にはあって、
   そこが最初の感動ポイントだったのだけど映画ではカット。


  3.静流が誠人の家に住み込むまでの過程が異なる

   原作では、家捜しするもその幼い容姿のせいで契約できず、
   その後すぐ誠人の家まで行くのに対し、
   映画は大学の空き部屋で寝泊りしようとする静流に誠人が声をかける。
   静流はお金ないから身体で...という流れ。
   原作での静流が誠人の家にごく自然に住む、という雰囲気が失われていて、
   逆に「いまどきの女の子」というのが前面に出ていて残念だった。


  4.キスにいたるまでの過程が異なる

   原作はコンクールで静流が賞を受賞、その褒美としてのキス、だったのが
   映画では単に誕生日プレゼントとして。
   しかも原作では「キスしてほしい」となかなか言い出せない、
   のに対し映画ではぽんっといとも簡単に口にする。
   ここでも「いまどきの女の子」感優先で原作の微妙な繊細感が失われてるのが残念。


  5.「恋をしたら死んでしまう」設定が微妙に異なる

   原作はまさに恋をすると無条件で成長速度が急速に速くなり、
   カゲロウのように、短い人生を終える遺伝性、という感じでしたが、
   映画は原因不明の病気で成長すると死んでしまうから薬で成長を
   抑制していたのを、誠人に女として見られたいから薬の投与をやめ、
   早く死ぬ道を選んだ、と微妙な設定の違いがあります。
   感じ方の問題だと思うのですが僕はやはり原作の設定のほうが好きかな。


  6.NYで誠人が静流の死を知る~写真展までの過程が微妙に異なる

   原作を読んだ時点で僕の中の誠人は「疑うことを知らない」イメージがあった。
   だから原作では静流の父親からの留守電を聞いた時点で静流の死を信じ、
   みゆきが帰ってきた時点で「泣きつくしたあとに突然訪れた、奇妙な空白の中」
   にいるのに対し映画ではみゆきの口から直接聞くまで信じようとしなかった。
   写真展は原作では老女が出てくるのが映画では出てこなかった。
   この老女がけっこういい味出しているのに。
   あとやっぱり映画では静流のヌードはなかった^^;
   まあこれは事務所的にも、体型の変化という科学的理由からも
   難しいだろうとは思ってけど。


映画館の音の悪さはともかく、他は本当に微妙な差だと思うのだけど、
そこが繊細で、この原作の魅力をなっている部分だと思っていたので
そのポイントが5つも外れればそりゃ冷めるよな、と。

タイトルを「ただ、君を愛してる」としている割には
友達とか恋愛とかそういう愛の形に囚われないで、愛の本質を見出す、という
この物語の魅力を映画は引き出しきれなかった。

映画館は女子高生がすごく多かった。
やはり玉木宏目当てなのかな...
おかげで男一人で入るのはとても恥ずかしかった~

やはり若い人向け、ということで少々繊細な部分を削ってでも
分かりやすい設定にしたかったのかな...

なんかもう恋愛映画は観るのやめようかな、って気になってしまった。

繊細な感情部分を表現することってすごく難しいんだろうな、きっと。
繊細なだけに感じ方も人それぞれ違ってくるだろうし。