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さて新春一冊目は壬生義士伝。
友達の薦めにより浅田次郎初挑戦。
「絶対泣くから」と言われたのですが、
読み始めは「どこがー?」という感じだったのですが、
上巻を読み終える頃には涙うっすら。
下巻の最後には涙ぼろぼろ。
感動の涙ではなく、悲しみの涙でもなく、せつなさの涙。
ただせつない。
物語は新撰組の一隊士とその周囲の物語。
新撰組といえば近藤勇をはじめとする土方歳三、沖田総司
などが有名ですが、この物語は吉村貫一郎という世にでる
ことのなかった傑物の物語。
僕は歴史に詳しくはないのでこの物語が事実に基づくものか
どうかは分からないけれど少なくともこの物語の中では、
この物語を読めば近藤勇も土方も、沖田も影が薄くなる。
文武両道で人としても立派な人間であったにも関わらず
世の矛盾に、武家社会の矛盾に翻弄されて非業の死を遂げて
いく様はせつない、としかいいようがない。
物語の最後に貫一郎の無二の親友が彼の息子を縁者に
託す手紙で締めくくっています。昔ながらの手紙で
読みにくいことこの上ないので、声を出して読んでいたら
涙ぼろぼろ。この手紙にこの物語の全てが集約されています。
人のあるべき道を考えたい人には必読の書です。
いつの世も矛盾はある。その矛盾に翻弄されてはならない。
愛する人のために生きる。いつの世もそれは同じはず。
ただそれだけでいい。
「やりがい」なんてくそくらえ。
「プライド」なんてくそくらえ。
おもさげなござんす。ああ、せつない。
(2006/03/25 Tadaoh! Bookより移動)
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