地域活性化に向けたコミュニティビジネスの可能性

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講演を聴きに双海町地域事務所へ行ってきました。

まちづくり学校「双海人(ふたみんちゅ)」主催のまちづくり講演会です。
双海町ではこの4月に地域おこし協力隊を中心にまちづくりを学ぶ組織が立ち上がり、
活発に活動を開始しているみたいです。
同じ地域おこし協力隊として、常に良い刺激をもらっています。


テーマは今話題のソーシャルビジネス(SB)、コミュニティビジネス(CB)について、
事例を交えながら解説、地域活性化にどのように活かしていくか、を学びました。
僕がこの講演会を聞きに行った一番の目的は、
自分自身の任期終了後の身の振り方の参考にすること。

行政のまちづくり担当の間でももてはやされているSB、CBですが、
僕自身は行政主導でやるもんではない、と思っています。
どんなに学んでも、結局行政自身はビジネスができない立場なのだから。
ビジネス支援という立場にいるとしても、ビジネス感覚のない人間がやるべきではない。
そうは言っても、実際やる人がいないから、やむを得ず行政が介入しているわけですが。

講演は豊富な事例紹介により、とても参考になったのですが、
ちょっと詰め込みすぎのように感じました。
SB、CBの良さをたくさん伝えたい、という想いは分かるのですが、文字が多すぎ。
本資料と参考資料の章番の整合性がない。
発表スライドが配布しているものとしていないものが混ざっているのも少し混乱しました。
講師の方を批判したいのではなく、こういう表現の仕方、アピールの仕方という部分で
デザインってあらためて大事だなあ、と思った次第です。


地域活性化にビジネスは確かに必須な条件だと思います。
しかし、そのあまりの重要さゆえに、ビジネスさえ上手く展開できれば地域活性化できる、
ほかは何もしなくともよい、という風潮が蔓延しているような気がしなくもない。
そこに僕は懸念を感じるし、その前に地域意識というものを育てる必要がある、とも思う。


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これまでなんとなく聞いてたSB、CBという単語ですが、
経済産業省では次のように定義されているそうです。


  「ソーシャルビジネスとは、障害者支援、貧困問題、環境保護、まちづくり・まちおこし等
   の社会的課題の解決を目的とした持続的な事業活動である。従前の営利を目的とした典型
   的な「会社」とは異なり、また、無報酬の善意に依存する「ボランティア活動」とも異な
   る新しいスタイルの事業形態である。ソーシャルビジネスは、社会的課題の解決に対して
   事業性を見出し、「新たな産業・新たな働き方」を創出する主体である。このような活動
   が、近い将来には行政、企業、市民の協働パートナーとなることが期待される。」

  「コミュニティビジネスは、ソーシャルビジネスのうち、より地域性のあるもの」


また、SBは主な事業対象領域は国内外を問わないものであるのに対し、
CBの主な事業対象領域は国内地域に限定されているのだとか。


上記の定義に従えば、地域活性化に必要なのはSBよりも、CBだといえます。
そうは言っても所詮は言葉での表現による違いに過ぎない。

正直僕は「ソーシャルビジネス」「コミュニティビジネス」という言葉が好きじゃない。
なにも地域活性化にビジネスは必要ない、とか言いたいわけではありません。
変化する時代に整合したビジネスプランというものもあると思う。
ただ、「ものめずらしさが一番重要」と解釈されかねない雰囲気が好きじゃない。
良いものを作る。その良さを対象者に分かりやすく伝える。
どんなものを売るにせよ、この基本原則は変わらない。

従来のビジネスにだって地域性の考慮は必要である。
デジタルの進化に伴い地域性が軽視されるようになってしまっただけである。
新しさを追求する前に、失ってしまた本質を取り戻す必要があるのではないか。
ことさら地域活性化を目指すから特別なビジネス手法が必要、
というものではない気がします。

どんな地域にせよ、経済社会で暮らす以上、
地域活性化を持続させるには、経済的に「稼ぐ」ことは不可欠である。
公益云々を問う前に、「弱肉強食」の原則を再認識すべきである。
人間は望めば強くなれる生きものなのだから。


僕はユスモクを単純なビジネスにしたい。
それは地域性を無視する、ということではない。
良いものを作る、ということは必然的に環境が考慮されるものである。

だから地域おこし活動からはじまるユスモクを、
順調に発展させることができれば、至極シンプルなビジネスモデルに到達すると僕は信じている。
もちろん魅力的な商品を作ることは決して平坦な道ではないけれど。