地域マネジメントスキル修得講座【第8回-2】

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【またまた講義には直接関係ないですが、いただき物の鹿の頭骨】


愛媛大学地域マネジメントスキル修得講座第8回2日目。

この日は一日、森賀先生の「地域マネジメント論」。


地域おこし協力隊としてこの一年半、地域づくりを学んできて思うことは、


  「地域づくりにノウハウはあるのだろうか?」


...という疑問。

それがこの講座を受講した動機の一つになっています。
僕が感じる限り、地域づくりに必要なものは「土着のリーダー」。
地域をこよなく愛し、地域の人を圧倒的に惹きつけるカリスマ性。
それが地域を引っ張っていってるように思えます。

しかしそのような人はそうそういない。
それならそういう人材を育成するしかない...的な発想になるわけですが。

この講座も半分を過ぎました。
おおいに学ぶところが多く、個人的には満足しているものの、
地域づくりにノウハウはあるのか、という根源的な問いに対する疑問は
いまだに残っています。

ノウハウを無理矢理定義付けることが一番なのではなく、
地域を元気にすることが一番なのだから、ノウハウにこだわる必要はない、
と言われるとそれはそうなのですが、
「より多くの人に地域づくりの大切さをアピールする」という点においては
やはり分かりやすいイメージ、ノウハウを示しておく、ことも必要と思えるわけで。


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【またまた講義には直接関係ないですが、いただき物の鹿の頭骨・その2】


森賀先生の講義資料をベースに自分なりに解釈・アレンジした私見を以下に述べます。


地域マネジメント論とは、「地域を経営管理する理論」だそうですが、
小さな地域といえど多種多様な生活をする人々の集まりである地域において、
どのように「管理」していくのか、はたして「管理」が可能なのか。

なんのために管理するのか、その目標設定、目標管理が重要。


滋賀県長浜市のまちづくりにおける3つのポリシー。

  ・新しいことは直感力でしか分からない。
  ・新しいことは想像力でしか見えない。
  ・新しいことは実践しながら生まれる。

地域づくりは理論だけではできない、あるいは理論でされるものではない、
ということでしょうか。


地域の経営形態

地域づくりは地域住民によって自主的になされるのが理想ですが、
たいてい地域づくりは行政からのトップダウンではじまります。
きっかけづくり、それが行政の地域づくりにおける位置づけのように思われます。
この状態の地域経営を「スタンドアロン型」と言います。

活動が活発化してくると、行政と地域間で活発なやりとりがなされるようになります。
まだ行政主導ではありますが、徐々に地域が自立性を持ちはじめてきます。
この状態の地域経営を「ステークホルダー型」と言います。

さらに活動が進んでいくと、地域が一つの経営主体として、
地域の内外へ働きかけるようになります。
このころになると活動は行政の手を離れ、地域主体でなされるようになります。
行政はノータッチというよりは、媒体としての存在となり、
地域づくりを副次的にサポートする役割になっていくのでしょうか。


ドラッカーの「マネジメントの役割」

  1.自らの組織に特有の使命を果たすこと。
  2.仕事を通じて働く人を生かすこと。
  3.自らの組織が社会に与える影響を処理すると共に、
    社会の問題解決に貢献すること。

地域づくりは単なる経済活動ではありません。
地域固有の文化を「魅力」としてアピールすることで、
「ナンバーワン」ではなく、「オンリーワン」の存在とすることで価値付けしていきます。


ソーシャル・キャピタル論

「社会的信頼」「互酬性の規範となる社会参加」「つきあいや交流によるネットワーク」
の三者の相互作用。

西洋と日本で微妙にニュアンスが異なるようです。
西洋でいう一般的な信頼(心からの信頼)は、
日本の田舎によくある「近所付き合い」といった「つきあいによる信頼」が重視されたり、
西洋では「互酬性の規範となる社会参加」は特定の目的に特化したボランティア・NPO
であるのに対し、日本では「昔ながらの地縁活動」といった伝習めいたものになるし、
西洋での「ネットワーク」は日本ではまさに「近所つきあい」そのものになる。
日本では繋がりが深い一方で、柔軟な目的対応が難しい側面があるといえます。


地域マネジメントに必要な創造的発想法

ブレストによる案出し、
KJ法によるアイデアの整理、
SWOT分析による分析、
ロードマップ、マイルストーンによる計画化。

...発想をまとめるために必要な一連の作業。


なまけ者のアプローチ。

綿密に仮説を創りあげてから実践検証を行なう完全主義者のアプローチに対し、
仮説と検証を「天使のような大胆さ」で繰り返す「なまけ者のアプローチ」。
経験に勝る知識なし、といったところでしょうが、
これも程度の問題で、無限に体力があるわけでもなし、バランスが大切。


ネットワーキング。

金子郁容『ネットワーキングへの招待』によるネットワーキングとは。

「それぞれ確立した『個またはユニット』が互いの信頼を認識し合いながらも、
 相互依存関係で自発的に結びついたもので、ある種の緊張を伴う関係の中で、
 意味と価値を作り出していくプロセス。ネットワーク+ing」

「互いの違いを認識し、積極的に評価し合い、
 協力できるところは協力し、対立するところは対立しながら、
 自発性を基本に交流するネットワーク。
 大人の関係。自己が確立している」

従来の統制型ネットワークに対する、新しい参加型ネットワークとは。
「メンバー各自がネットワークに属することが自分にとって何らかの
 利益につながるということを自主的に判断する、という原則で
 構成されるネットワーク」

従来の統制型ネットワークはクローズなものであり、
参加型ネットワークはオープンなものである。

ネットワーキングは自分の専門分野以外はすべて他に頼る、というのではなく、
「最低限基本的な自己を確立した」上で、互いの専門性を活かして全体形成に
寄与する、という認識が大切。


「弱さの強さ」
『ボランタリー経済の誕生』(金子郁容、松岡正剛他)より
「固定的な関係性を解き放ち、そこから生まれるフラジリティ(壊れやすさ・脆さ)
 の中から新しいつながりを生む『あき(空き)』を創出するはたらき。
 互いに情報の席を『あけあう』ことがかえってつながりを生む」

完璧な人は近寄りがたく、弱い人を見ると母性本能により助けたくなっる、
ということでしょうか。例えはあまり上手くない気がしますが、
言わんとする所は分かるような気がします。

誰かと繋がるには、相手が入ってくるだけのスペースが必要、ということ。
どれだけ入って来やすいか、入った後の結合は気持ちの良いものであるか。


...とまあいろいろな柔軟な発想、多視点から、
創造的な地域マネジメントは実現する。


視点連携図

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外部からの客観的視点で眺める「開放的視点」、
自ら強く意識して眺める「内発的視点」、
生体であることを意識して眺める「五感的視点」、
長期的な視野で眺める「持続発展視点」、
考えながら、行動しながら眺める「動態的視点」、
「知りたい」という知識欲で眺める「知的刺激視点」、
二元論を超えて矛盾を受容した視点で眺める「二元論超越視点」、
通念は変わっていく、という疑念で眺める「反通念的視点」、
実現性を意識した視点で眺める「具体的視点」。

以上9つの視点で多視的に地域を眺めることで創造性を高める。

モノを作り、コトを作り、魅力を創る。
そうして地域を「創ってゆく」。

頭でっかちにならず、考えをすっきり整理しながら動いてゆこう。


昼休みに三期生の方が画像の鹿の頭骨を持ってきてくれました。
Facebookで掲載されていたものを譲り受けました。
もらったときはとくに考えてなかったのですが、
ユスモクのロゴである鹿(の面)にピッタリじゃないか。

ユスモクの看板にデコレートしてみようかな...