ミトコンドリアは人間と共に共生する寄生虫のようなものだった。
そのミトコンドリアが気の遠くなるような長い年月をかけてゆっくりと進化し、
宿主である人間に取って代わろうとする...
そんな感じのバイオ・ホラーです。
作者自身が科学者であり、研究者であることから物語の細部に対する
緻密なまでの設定が物語に迫力を与えています。
ただ表現が難しすぎるきらいはありますけど...
学生時代の生物の授業以来、細胞について考えることなんて皆無でした。
だからミトコンドリアと聞いてもそれが細胞のどこにあって
どんな役割を果たしているかもすっかり忘れていました。
ミトコンドリアは細胞膜の中、核の外にあって、
生命活動に必要なエネルギーを生み出す役割をしている。
細胞の核に人のDNAがあるようにミトコンドリアにもミトコンドリアDNAという
ヒトゲノムほど規模ではなく小規模ではあるけれど独自のDNAがあって、
独自の生命活動をしている...らしい。この本によれば。
あくまでフィクションなのでどこまでが真実で、どこからが空想なのか
生物学に疎い僕にはよく分からないけど、ミトコンドリアが寄生虫、
という事実にはぼびっくりしました。
ちなみにタイトルの「パラサイト」とは「寄生する」という意味です。
どんなに科学が進んでも、解き明かされていない自然の神秘というものがある。
そういう意味ではこの物語もあながちフィクションとして片付けられない
ものがあるのかもしれませんね。
だからといってじゃあこうしなきゃ、というものがあるわけでもないけど。
まあ少なくともそう思うことで世の中何が起きても不思議じゃない、
とものごとに付和雷同しないようになるかもしれないかもね。
三上博史&葉月里緒奈主演で映像化もされているようですが
Amazonのレビューを見る限りちょっと期待は持てなさそうだ...
コメント