ゲド戦記Ⅱ こわれた腕環 【ル=グウィン】

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ゲド戦記第2巻
本巻はもう一人の主人公テナーの物語。
「名なき者」仕える大巫女として育てられた少女が
ゲドと出会い、旅立つまでを描く。

この物語は本当に壮大で奥が深い。
本巻で心に響いた真理は以下のくだり。

「とうとう、わたしたちふたりを自由にしてくれたね。」ゲドは言った。「ひとりでは、誰も自由になれないんだ...」

一方でこうも続きます。

彼女が今知り始めていたのは、自由の重さだった。自由は、それを担おうとする者にとって、実に重い荷物である。勝手のわからない大きな荷物である。それは、決して気楽なものではない。自由は与えられるものではなくて、選択すべきものであり、しかもその選択は、かならずしも容易なものではないのだ。坂道をのぼった先に光があることはわかっていても、重い荷を負った旅人は、ついにその坂道をのぼりきれずに終わるかもしれない。

「自由」の中に居ると時に見えなくなってしまうものがある。
「自由」な会社にいて15年、僕は見えなくなったものに気づいた。
いや、見えていたけど見えないふりをした。
そこに気づくのが、目を向けるのが怖かった。
「安定」がすっかり僕を臆病にした。

でも結局それは自由な場の中で、
「自らを拘束する」という選択をしていた。
それはけして幸福とはいえないだろう。

「人の真理とは?」
それを知りたい人には必読の一冊です。
あなたはこの巻でどんな心理を発見しましたか?

いよいよ次は第三巻、「さいはての島へ」。
映画ゲド戦記で描かれている部分。
どんな真理が待っているのか今から楽しみです。