きのね 【宮尾登美子】

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上下2巻構成。
朱夏」「」に続き宮尾登美子さんのこの作品を読みました。
この方の文章はとかく難解で読みにくい、という印象が最初
読んだ「朱夏」ではありましたが3作目と慣れてくると心に響く
ものがあり、とてもいい作品だと思いました。山崎豊子さんとは
また趣の違う感動ではありますが。
内容は歌舞伎役者の家へ女中として入った女性の半生を描いたもの。
主の花形役者にひそかに恋焦がれ、縁あって結ばれて、子が生まれ、
妻として正式に認められ、夫の縁の下の力持ちとしてひたすら生きる。
主人公の光乃はまさに「女の鑑」です。しかし現代社会において、
こういう女性はもはや皆無ではないでしょうか。(別に現代女性
を非難するわけではありません)

女性のあるべき姿を考えている方には必読の一冊です。
女性の自立も大切ですが、操を立てる、これも日本女性として
失うべきではないあるべき姿、ではないでしょうか。
とはいっても操を立てるべき甲斐性ある男性がいない、ふがいない
男ばかりの世の中だと言われると反論できない世の中ではありますが...

(2006/09/26 Tadaoh! Bookより移動)