生涯武道

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週末の稽古に参加。
合宿も近く、審査を受ける予定の人が多く参加する時期。

僕はすでに全審査過程(四段)を終えているのでもう審査はないのですが、
段の審査を受ける後輩たちの受け(お相手)を頼まれると、
その審査の練習に付き合ったりします。
今回も弐段を受ける後輩の受けをすることになりました。
それは単に後輩の手助けをする、という目的だけではありません。

弐段以上の審査には「武器取り」と「多人数掛け」という審査があります。
武器取りは短刀や剣、杖(使用する武器はいずれも木でできたもの)で
攻撃された時の対処、多人数掛けは同時に複数人(弐段は二人、
参段以上は二人&三人)が襲い掛かったときの対処が審査されます。
これらは普段の稽古ではあまり行われず、審査のときだけ行われるもの
であるため審査の前後ではよく覚えていても時が経ってしまうと
どうしても忘れがちになってしまうもの。
だから後輩の受けをすることは自分への復習にもなります。
つまりこれも「稽古」なのです。


さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回は尊敬する先輩のお話。
その先輩は50歳で合気道を始められて、現在70歳。
実に20年のキャリヤのベテランです。
合気道を始めた当初は五十肩で悩んでいたそうですが、
それも合気道を続けていくうちにすぐ治ったそうです。

合気道は攻撃役の「受け」とそれをかわして技をかける「取り」で
二人一組で型を行うもの。相手の力を利用する「取り」はそれほど体力を
使うものではないのに対し、逆に「受け」は利用された力がもろに返ってくる
のでそれなりの体力が必要になります。飛び受身という受身になるとさらに
その度合いは強くなる。

その飛び受身を70歳の老人が誰よりも軽やかにする。
けして70歳にしては大柄でマッチョ、というわけではなく、
見た目は小柄でいたってごく普通のご老人なのです。

稽古後の宴会にも積極的に参加されます。
酒に飲まれることもなく(多少饒舌にはなられますが)、一緒に楽しく語り、
その後二次会のカラオケでも若者に混じって元気に歌う。
帰る道中もすっかりヘベレケの人を介抱する余裕さえある。

駅のホームへ向かう階段で。
僕のダブルスコアの年齢の人が僕と同じリズムで階段を登る。

逆に自分は、右肩に右手首、左足の指、とかつてないほど故障を抱えている有様。
まったく恥ずかしい限りです。


合気道は一生続けられる。
その先輩は身をもってそのことを僕に教えてくれました。


※画像は稽古後の飲み会の場所(高田馬場の和民)の照明。
 オシャレなので思わずパチリ。