市民ケーン【オーソン・ウェルズ】

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大学の授業で鑑賞しました。

オーソン・ウェルズ処女作。制作・監督・脚本・主演の4役をこなしてます。

英国映画協会(BFI)が10年毎に選出している「世界映画史上作品ベスト10」で
1962年以降ずっとベスト1を記録している作品だとか。
つまり40年間世界一ってこと。


どれだけスゴイ映画なのかな...と観てみたのですが。

新聞王ケーンがうらぶれたザナドゥ(桃源郷)で寂しく死んだ。
「バラのつぼみ」という謎の言葉を残して。

彼の死の真相に興味を持った人間がケーンの関係者を訪れることにより
ケーンの人生が語られていく...

新聞王にまで登りつめた人間が手にした富と孤独。

物語としてはそんな感じですが、ラストまではなぜこの映画が40年間ベスト1だったのか
よく分かりませんでした。物語のテーマとしてもありがちで、映画技術の進んだ現在では
そうめずらしくない内容。


でも。
この映画はラストが全て。
Wikipediaで検索するまでは正直ストーリーがよく分からなかった。
その意味ではけして良い映画とは僕は思えないのですが、
40年間1位、という事実は少し理解できる気がします。

人々が映画に望むことはなんだろう。
刺激。ストレス解消。人生勉強...

それらもあるんだろうけどやっぱ最終的には「愛」なんだな。
この映画を観るとそう思わざるを得ない。

映画に必要なのは派手なVFXやワイヤーアクションでも、奇抜なストーリーでもない。
地味で目立たないけど、いや、だからこそつかみにくいものなのかもしれないけど、
なければ人生がむなしくなってしまうもの...「愛」。


なぜタイトルが「新聞王ケーン」ではなく、「市民ケーン」となっているのか。
ケーンが死の間際につぶやいた「バラのつぼみ」はなんだったのか。
映画の中ではついに誰も本当の「バラのつぼみ」がなんなのか知ることもなく、
つぼみは永遠に咲くことなく、葬り去られてしまう...
そのラストがたまらなく悲しい。

でも映画を観た僕等は「バラのつぼみ」がなんなのか知ることができる。
それは咲かせることなく、つぼみのままで終わる人生にするなよ、という
オーソン・ウェルズのメッセージなのかもしれません。

そして英国ではそのメッセージの重要性が40年間理解され続けている。

ぜひたくさんの人に観てほしい。
この名作が500円で買える、良い時代です。
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