[図録]
半年ぶりの東京。
竹橋の国立近代美術館に続いて東京駅構内にある東京ステーションギャラリーへ。
正直企画展よりは、新しくできた美術館そのものが目的でした。
東京駅の復元工事に伴って新しくできた美術館かと思いきや、
開館は1988年、なんと自分が上京する前からあったんですね。
東京駅は毎日通勤で通過していたのに全く知りませんでした。
近くにあるものを意外と知らない。
ものごとってえてしてこんなものですよね。
というわけでシャガールが格別好きだから、というわけではなかったのですが、
美術館の空間はもちろん、展示そのものも期待以上にすごく良かった。
画家として有名なシャガールですが、
重力という常識から開放されたようなその作風からして、
二次元の枠におさまらない雰囲気は十二分にありましたが、
実際こんなにもたくさんの三次元作品を手がけていたことに驚きでした。
辰野金吾設計の赤レンガの建物。
多くの人が行き交う東京駅。
ふと足を止めて上を見上げれば...
見事な天井。
側廊。
エントランス。
美術館は1階がチケット売り場となっており、
まずはエレベーターで3階展示室まで上がり、
その後階段で2階展示室、ミュージアムショップへ下りてくるルートとなっています。
この階段もまた見事なんだな。
さて、シャガール展ですが、残念ながら会場内は撮影禁止なので、
お気に入りの作品をpinterestから一点だけ。
画像からはなかなか分かりにくいのですが、取っ手の付いた壺に装飾が施されたもの。
面白いのは壺の内側に女性の上半身が描かれていること。
常識的に考えれば、
壺の丸みを使って乳房で女性らしさ表現するならば、
壺の表側に女性像を描くものだけれど、
この作品ではあえて裏側に描かれている。
つまり女性の乳房が引っ込んでいるように見える。
もちろん実際にはそのようなことはありえないわけで、
そこがなんとも奇妙で面白い。
シャガールの天才的な感覚が垣間見えた作品でした。
普段、自分がいかに常識という鎖に囚われて身動きできなくなっているかを痛感しました。