東京都庭園美術館で開催されている「建築の記憶」展へ行ってきました。
あいかわらず会期終了間際ぎりぎりでしたが、
桜が咲き頃でとても良かったです。
庭園美術館は去年一度訪れているのですが、
そのときは美術館には入らず庭園の散歩のみ、でした。
今回の展示ではじめて美術館の中へ入ったのですが、
外観と同じく内部もアール・デコ色たっぷりで情緒あふれるものでした。
[庭園美術館]
情報社会の現代においては写真は主要な情報メディアの一つです。
とくに現地に赴かなければ現物そのものを見ることが出来ない建築にとって、
写真はその表現媒体として重要な働きを成すものといえます。
本展では写真家が撮った建築写真をメイン作品として展示し、
建築家と写真家双方の功績を紹介するものです。
個人的には建築そのもののほうに興味があるので
どうしても建築家の方に視点がいってしまいます。
...なので、レビューも自ずと建築家メインとなりますがその点はご了承ください。
会場は7つのセクションに分かれていて、時代を追うように展示が続きます。
日本ではじめて写真に登場した建築は「お城」だそうです。
印象に残った建築としては、
東京カテドラル、国立代々木競技場、光の教会、
桂離宮、青森県立美術館あたりでしょうか。
今回とくに印象に残った建築家は前川國男。
ル・コルビジェの元で学び、彼の事務所からは丹下健三という偉大な建築家を輩出してます。
前川建築はけっこう身近なところにありました。
師匠のコルビジェの唯一の日本作品、国立西洋美術館の対面にある
東京文化会館。
上野に行くたびになにげなく通り過ぎていました。
あとシェル美術賞展で訪れた京都市美術館別館。
なんとこの隣の建物が京都会館で同じく前川國男が設計。
[京都会館: 有名建築とは知らずに撮影してました]
青木淳設計の青森県立美術館は
雪国の白い情景とマッチする白い箱体が素晴らしい。
会場には写真作品意外にも建築模型の現物展示もしていました。
東京カテドラル、国立代々木競技場など、
昔は木で模型を作ってたんですね。
一方で青森県立美術館はアクリルの模型。
上から見ると内部構造がくっきり見えるのに、
横から見るとなにもないようにも見えてしまう。
妙に不思議で見入ってしまいました。
最初の城の写真ではうーん、これは...と不安に思ったものの、
1時間ほどで見終わった後ではすっかり満足。
観に行きたい建築がまたまた増えました。
展示カタログは人気につきすでに完売。
この展示会の趣旨に反論したいわけではないですが、
やはり建築はそのスケールゆえにどんなにその写真の出来が良かったとしても、
写真と実物とのギャップは大きいもの。
スケールアップにくわえて現地へ向かうまでの苦労。
それゆえに実物を見たときの感動は写真で見たときの数倍になる。
だからやっぱり建築は現物を見なきゃ。
...それがこの展示で得た僕の回答なのかな。