遊子川には小学校が一つあります。
生徒数は10名。
一学年で10名、なのではありません。
一年生から六年生まで、全部で10名なのです。
ちなみに遊子川内に中学校、高校はありません。
...いかに遊子川が過疎地域、限界集落であるかが伺えます。
公民館では月に2,3回、学校が早く終わる日の午後、
小学生たちを集めて「よりみちクラブ」なるプログラムを実施しています。
内容は紙芝居だったり、ゲームだったり、工作だったり。
いわゆる放課後教育、学外教育の一環みたいなものです。
今回、一応美大卒、ということで工作教室を任されることになりました。
子供は嫌いじゃないですが、普段接していないので、どう接してよいか迷います。
ちょっとドキドキ。
そんな先生の心配をよそに、子供たちは元気いっぱい。
...やっぱり元気が一番。
子供たちはそれを教えてくれます。
いくら美大卒、といっても、いきなり一からプログラムを考えるのは難しいので、
あらかじめ、公民館職員さんがある程度の内容を用意してくれました。
子供向けの工作絵本の中から、題材を一つピックアップ。
「牛乳パックでつくる動物けん玉」
牛乳パックを加工して、けん玉を作ります。
ただのけん玉では面白みがないので、動物の顔を模したものにします。
2日前、工作絵本を見ながら試作したお手本。
象さん顔のけん玉。
簡単な自己紹介の後、いよいよ工作開始。
それぞれ思い思いの動物たちを描いて、はさみやのりを使って組み立てていきます。
何とか時間内に全員作り上げた、と思ったら、さっそく全員走り回って大はしゃぎ。
...「作る喜び」を感じてもらえただろうか。
できないものはできるところから持ってくる。
現代社会はあまりにも効率を優先し、作業を細分化した。
エネルギーが膨大で、その流れが激しい都会では特にその傾向が顕著だ。
その結果、人間は社会としてより多くのことができるようになった一方で、
個人は「工夫する喜び」「問題を解決する能力」を見失ってはいまいか。
「生きる楽しみ」は他人から与えられるものではない。
自分で見つけるものだ。
おもちゃは大人が買い与えるものではない。
自分で作るものだ。
多感な子供時代にそのことが学べれば、どれほど成長できることか。
...次はもっと創意工夫を凝らそう。
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