
【図録】
本記事作成日:2026/08/23
展覧会訪問日:2023/12/09
アントニ・ガウディ。
建築に興味がある人でなくとも、一度はその名を聞くことがあるだろう。
自分は結局建築を仕事にすることはなかったが、デザインと同じく「思考法」の一つとして、
建築に興味を持つことは人間にとって大いに意味があるという結論に至った。
その中でガウディは装飾と構造、自然と人間のより良い関係のあり方を模索していくために
避けては通れないキーパーソンの一人だと思う。
美大在学中は図書館でガウディに関する本を読み漁ったが、
建築家としてこれ以上ないほどの知名度を誇りながら、
これといったガウディの展覧会には巡り会えなかった。
逆に有名すぎるからやらないのか...ともう半ばあきらめかけた2023年。
ようやくその展覧会はやってきた。
しかも東京国立近代美術館で。
これはもう行くしかない、という感じで出かけてきました。

本記事作成日:2026/08/25
美術館訪問日:2020/01/11
1994年、岡山の山奥に日本で最初のサイトスペシフィックな美術館が開館しました。
設計は磯崎新。
サイトスペシフィックな美術館、つまり特定のアーティストのために設えたアート空間は
今となっては美術館然り、テンポラリーな芸術祭然り、と日本各地にあり、
めずらしくもないですが、
当時は美術館という器の中に作品を定期的に入れ替えて展示する、というスタイルが
美術空間の常だったわけで、当時にしてみれば革新的な試みだった。
それが田舎の山奥で実現したというのだから、これがなかなかスゴイ。
アートの一つの進化であり、磯崎さんならでは功績なのではなかろうか。
訪問当時は自分は備前市に住んでいて、
ちょうどこの美術館の真南に行った瀬戸内海に面した場所だった。
車で1時間半弱ほどかかるのだが、けっこうな山道だったのを覚えている。
公共交通機関で向かうのはかなり難しいだろう。
くねくねと山道を抜けた先に現れたのは、
今見てもまったく色褪せることのないモダンな空間だった。

本記事作成日:2026/08/21
展覧会訪問日:2019/11/21
はじめて千住さんの作品に出会ったのは、たぶん2013年の瀬戸芸だと思う。
直島での小さな展示だった。
千住さんのスケールの大きな作品に対して、瀬戸芸で与えられた空間は狭く、
かつ写真撮影も禁止されていたたため、ほとんど記憶に残っていない。
あとは長らく行ってないので今もあるかどうか知らないが、
羽田空港の出発ロビーに千住さんの巨大な作品があった。
当初は日本画より洋画の方に興味が向いていたこともあって、
自分の中ではそんなに注視していた画家じゃなかった。
その後、2020年に氏が高野山金剛峯寺の襖絵を奉納することになり、
その完成記念展として奉納に先駆けて開催されたのが本展である。
それをテレビで知り、見に行くことにしたのだが、
当時8年過ごした愛媛を離れ、岡山へと移住しようとしていた時だったわけで、
決して千住氏の熱烈なファンだったから、というわけではなく、
今思えば愛媛との決別に思いを馳せるべく足を運んだような気がする。

【図録】
本記事作成日:2026/08/21
展覧会訪問日:2019/09/14
2019年9月以降、本ブログの更新が止まっていました。
2026年3月にちょっと大きな病気が見つかり、仕事を休職して半年近く家でのんびり過ごしてます。
良い機会なので愛媛を出てからの痕跡の記録を再開していこうと思い立つ。
2019年9月といえば、四国での生活に見切りをつけ、
新しい道に進むべく松山の職業訓練校に通っている頃。
4月に始まって半年が過ぎ、終了ぎりぎりになってなんとか次の就職先が見つかり、
ホッとしたところ。
久々に美術鑑賞がしたくなったんだな...と当時を振り返ってみる。


※瀬戸内国際芸術祭2019及び高松市美術館での宮永愛子展はすでに終了しています。
瀬戸内国際芸術祭2019夏会期がはじまりました。
...と思ってたら、その夏会期もあと一週間で閉幕です。
相変わらずの遅筆ですが、夏会期のレポートを随時していきたいと思います。
2013年・2016年と過去2度、芸術祭には行ってますが、
夏会期に行くのは今回がはじめてでした。
今回も早朝出発して下道でのんびり高松港に向かったのですが、
のんびりしすぎて船の時間が中途半端になってしまい、
やむなく高松市街エリアを回ることにしました。
まずは夏会期オープンの北浜エリアを経由して、
高松市美術館で開催されている宮永愛子展へ。
いやあ、暑い。
暑いときはクーラーの効いた館内でアート鑑賞するに限る。


愛媛県美術館で開催されていたエッシャー展に行ってきました。
(訪問日:2019年5月25日AM)
※本展はすでに終了しています。
いつもながら遅いレビューですが。
2007年に東京渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されたスーパーエッシャー展以来、
12年ぶりにエッシャーの絵を見ました。
今回は世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から、
選りすぐりの152点が日本初公開とのことですが、全部が初見ではなく、
中には前回見たものもいくつかありましたが、
やはりエッシャーの絵は何回見ても心湧き踊るものがあります。
エッシャーといえば、正則分割による錯視、いわゆる「だまし絵」の作家として有名です。
その綿密に計算しつくされた精緻さ、構成に心奪われるものですが、
今回の展示ではエッシャーの作品は単なる技巧だけでなく、
情緒豊かな感性により人の心を捉えるのだとあらためて思いました。
技術だけが人の心を魅了するのではない。
良い感性が、良いデザインが、技術を生かすのだ。
技術と芸術の両立されてこそ、良いものができあがる。

今年最初の美術鑑賞。
愛媛県美術館で開催中のバレル・コレクション展へ行ってきました。
英国スコットランドの海運王ウィリアム・バレルが蒐集した美術コレクション、
「バレル・コレクション」。
バレルはその膨大なコレクションを地元グラスゴー市に寄贈、
閑静な土地にコレクションを展示する美術館が建設され、1983年に開館しました。
コレクションは基本的に門外不出でしたが、
美術館のリニューアル工事に伴い初来日することになり、
本展はそのコレクションの中から73点と同市のケルヴィングローヴ美術館から7点、
計80点を展示するもので、福岡→愛媛→東京→静岡→広島の順で巡回します。
巡回展はなにかと都会の美術館が優先され、
遅れて田舎の美術館へ巡回してくるのが常だから、
めずらしく東京よりも先に愛媛で開催されるのも嬉しい。

久々の東京出張。
帰りの飛行機までの時間を利用して、久々のお江戸での美術鑑賞。
東京都美術館でのムンク展に続いて、
三菱一号館美術館で開催中のフィリップス・コレクション展へ。
フィリップス・コレクションは裕福な実業家の家に生まれた
ダンカン・フィリップスが蒐集した美術作品群です。
1918年に法人化し、1921年にこれらのコレクションを展示する場として、
ワシントンDCにフィリップス・メモリアル・アート・ギャラリーを開館しました。
これはMoMAの開館よりも8年も早く、アメリカで最初に開館した近代美術館とされています。
ダンカン・フィリップスは1966年に亡くなりましたが、
その精神はフィリップス・コレクションに受け継がれ、
現在、同コレクション所蔵品数は4,000点以上にもなります。
本展はこの世界有数の近代美術コレクションの中から、
アングル、コロー、ドラクロワ等19世紀の巨匠から、
クールベ、近代絵画の父マネ、印象派のドガ、モネ、印象派以降の絵画を牽引した
セザンヌ、ゴーガン、クレー、ピカソ、ブラックらの秀作75点を展覧するものです。

久々の東京出張。
帰りの飛行機までの時間を利用して、久々のお江戸での美術鑑賞。
...というわけで東京都美術館で開催中のムンク展に行ってきました。
特にムンクが好き、というわけでもなくて、
上ので開催中のフェルメール展、ルーベンス展、六本木で開催中のボナール展など、
場所の成約と好みをいろいろ検討した結果、消去法で残ったのがムンク展と、
三菱一号館美術館のフィリップス・コレクション展でした。
結果的にはこれが大当たり。
「叫び」は世界で最も有名な絵画の一つであり、
故国ノルウェーでは国民的画家として讃えられているエドヴァルド・ムンク。
40代にはすでにその画業は社会的に認められるようになっており、
画家としては成功した部類に入るでしょう。
しかしなぜ、彼の絵はこんなにも悲しみに満ちているのでしょうか。
ノルウェーのクリスチャニア(現オスロ)の北に位置するローテン村で、
軍医だった父クリスチャン・ムンクと母ラウラの間に生まれたムンクは、
結核により母と姉を幼くして失う。
女運も悪く、恋人とのいざこざの末に左手の指の一部を失ってしまう。
幼少時に大切な家族を失うという経験と、恋人との破局により
アルコールに依存するようになり、ついには精神的にも異常をきたすようになる。
この危機を画業の成功でなんとか乗り切るが、
ナチス・ドイツが台頭してくると、頽廃芸術として作品押収され、
戦争を避けるようにひっそりと作品を描き続けるが、
ナチスの爆撃で家の窓が吹き飛ばされ、その寒さにより気管支炎を患い、
生涯独身を貫いた画家は自宅で一人息を引き取った...
画家としては成功したが、彼の人生は決して恵まれたものではなかった。
彼の人生ははたして幸福なものだったのだろうか。
彼自身、自分の人生に悔いは残らなかったのだろうか。

開館40周年 まるごと ひろしま美術館展2018。
西洋画編に続いて今回は日本画編です。
日本画もなかなか充実していました。
個人的にはどちらかといえば日本画よりは西洋画が好きなのですが、
ここの日本画コレクションはなかなか自分の好みの作品が多くて良かったです。
特に裸婦像。
なんていうか西洋画のような直接的なアピールではなく、
遠回しに隠喩的に色気を伝えようとする奥ゆかしさ、というか、
そういう雰囲気が日本人の自分の性にも合ってるというか。
改めて日本画の良さに目覚めた気にさせてくれる、良い展示だったと思います。

広島滞在最終日。
小雨の降りしきるなか、ひろしま美術館に行ってきました。
初訪問。
平和記念公園の北側と広島城の南側に挟まれたひろしま美術館は、
広島銀行が創業100周年を記念して1978年11月3日に開館しました。
設計は与謝野久/日建設計。
訪れた日は開館40周年を記念して、
本館が所蔵するる全館コレクション展示の初日でした。
開館時間に合わせて美術館に向かったのですが、
3,4台しか置けない美術館駐車場はすでに満杯、
やむなく隣の市民病院の有料駐車場に停めて、いざ中へ。
順路に従って作品鑑賞をしていたら、
中央ホールに人がわさわさ集まりはじめていたので、
何事だろうと見ていたら、
気品あるご婦人が話し始め、よくよく聞いていたら、
芸術作家・原田マハさんでした。
その日の夕方から講演会があったみたいですが、
事前申込制だったらしく、聞きに行けず。
それにしても一介の地方銀行にしては豪華すぎる所蔵品の数々にびっくり。
しかも全作品撮影OKだなんて。
見直したぞ、広島銀行。


広島平和記念公園の南、吉島通りの終点にある広島市環境局中工場を後にして、
広島平和記念公園の東、平和大通りの終点ある比治山の広島市現代美術館へ。
1980年に広島市が政令指定都市になったのを記念して、
比治山が「芸術公園」として整備されることになり、
あわせて博物館建設構想が上がり、黒川紀章の設計で1989年に完成。
丘の上の美術館は、大都市の中心地とは思えないほど静かで穏やかな空間でした。

【図録】

夏休み三日目は福井県。
東尋坊を後にして、三日目最後は福井県立美術館で開催中のピカソ展へ。
日仏交流160周年、福井県立美術館創立40周年を記念して開催されているもので、
フランス国立図書館が所蔵するピカソの版画コレクションが展示されています。
最も多作な画家であるピカソは絵画・版画・素描・彫刻・陶芸など、
ジャンルを問わず様々な作品を生み出してきましたが、
版画はその中でもとりわけ情熱を注いだジャンルであり、
1899年に着手してから晩年の1970年代初めまで、
70年にわたり2000点近くも制作しています。

夏休み二日目は滋賀県へ。
守山駅前のホテルを出発、まずは甲賀市にあるミホ・ミュージアムへ。
滋賀県といえば日本一の湖・琵琶湖ですが、
この美術館は琵琶湖からは少し離れた静かな山中にあります。
世界救世教から分立した神慈秀明会の会主・小山美秀子のコレクションを展示するために
1997年にI.M.ペイの設計で建てられました。
美術館の名前は会主の名前「みほこ」に由来しています。
桃源郷をイメージして作られたその美術館は、建物のおよそ8割が地下に埋設されています。
東洋哲学と西洋科学とが融合した桃源郷とはいかなる空間なのであろうか。

神戸で兵庫県立美術館、メリケンパークを訪れた後、一路大阪へ。
お目当ては国立国際美術館で開催中のプーシキン美術館展。
プーシキン美術館はロシアの首都モスクワにあるヨーロッパ最大の美術館であり、
収蔵品数は約10万点でエルミタージュ美術館に次いで世界二位。
本展はその膨大なコレクションの中から、フランス風景画に焦点をあてたものになります。
金曜・土曜の午後5時〜9時のナイトタイムで会場内での写真撮影が可能、
ということで夕方5時に現地に到着して夜の美術館を堪能してきました。


待ちに待った夏休み。
まず最初に向かったのは神戸市内にある兵庫県立美術館。
大震災からの復興プロジェクトとして計画され、安藤忠雄氏の設計で2002年に開館。
海沿いに建つ美術館の周囲には市立のなぎさ公園が整備され、
ひとつの巨大なランドスケープを形成しています。
愛媛からは松山自動車道、徳島自動車道を経て淡路島を横断して本土に入り、
垂水インターチェンジで阪神高速3号神戸線に入り、摩耶インターまで。
高速降りて5分ほどで美術館に到着。
盆休みということで渋滞を心配してましたが、
阪神高速に入るまではほぼ渋滞なし。
阪神高速は断続的にノロノロ運転でしたが、想像してたよりは流れていてよかった。
それにしてもまあデカイ。
デカすぎて全体を把握するのが難しい。
真夏の昼間ということもあって周囲を一周する気にもなれず、
さらには一部工事をしている箇所もあって、なおさら全体像の把握を難しくしてました。
基本的には細長い長方形ブロックが3つ平行に並んだ構造で、
そんなに複雑な構造ではないはずなのに、いざその内部へ足を踏み入れると、
複雑に入り組んだ空間に戸惑いを感じてしまった。
まあ、面白いといえば面白く、安藤さんも意図的にそういう空間づくりをしたのかな、と。

訪問日:2018年5月26日(土)
猪熊弦一郎現代美術館で開催されていた公募展が縁で知り合った作家さんから
個展のDMをもらったので善通寺市の灸まん美術館へ見に行ってきました。
久々の香川ということで、せっかくなのでいくつか回りたいなあ、と
高松の香川県立ミュージアムで開催中のイサム・ノグチ展と、
丸亀の2つの美術館(丸亀平井美術館/丸亀美術館)もあわせて回ることに。
正直なところ、現在絶賛スランプ中。
何かを作ろうという意欲がまったく湧いてこない。
このスランプを抜けるためにも、刺激を与え続けねば。

訪問日:2018年5月26日(土)
丸亀で美術館といえば、丸亀駅前にある猪熊弦一郎現代美術館が有名ですが、
ネットで調べていると、ほかにもう2つほど美術館があるみたいです。
前回は丸亀平井美術館を紹介しましたが、
今回はもう一つの丸亀美術館を紹介します。
さぬき浜街道を丸亀平井美術館から西へ車で7分ほど。
丸亀美術館は江戸時代に造られた大名庭園・中津万象園に併設された美術館で、
ミレーやコロー、クールベなどの巨匠の作品を見ることができます。
中津万象園は1688年、二代目丸亀藩主・京極高豊によって中津の浜に造られました。
築庭はその後100余年もの長い年月をかけて五代高中のときに完成。
庭の中心には京極家の先祖の地である近江の琵琶湖を形どった八景池が置かれ、
近江八景になぞらえて、帆、雁、雪、雨、鐘、晴嵐、月、夕映と銘した八つの島が配され、
それぞれの島を橋で結んだ池泉回遊式の大名庭園となっています。

訪問日:2018年5月26日(土)
1ヶ月ほど前の話。
香川県立ミュージアムで開催中のイサム・ノグチ展に行ってきました。
イサム・ノグチの個展に行くのは、2006年高松市美術館での開催以来12年ぶり。
その最初の個展以降、香川とニューヨークの庭園美術館に行ったり、
ドウス昌代さんのイサム伝記を読んだりと、
それなりにイサムについて見識を深めたつもりだったけど。
2回目の個展も新しい発見の連続だった。
やっぱり奥が深いなあ、この日米混血の彫刻家は。

訪問日:2018年4月17日
おおよそ2ヶ月前の話。
東京ステーションギャラリーでの隈研吾展をあとにして、
三菱一号館美術館で開催中のルドン展へ。
ルドンの絵は過去2回のオルセー展(1回目/2回目)などで、
何度か目にする機会がありましたが、単独での大々的な展覧会は今回がはじめて。
時代的には印象派の時代に生きた画家であり、第8回の印象派展にも出品しているものの、
印象派とは一線を画し、独自の路線を歩んだ。
風景画の巨匠に教えを受けるも、
彼が描く絵は風景と人間の内面とが混ざりあった独特の世界だった。
周囲に流されず、自分のアイデンティティを築き上げたという点で
どこか自分の心を刺激する画家の一人。